日本光学会について

会長挨拶

日本光学会会長
大谷 幸利
(宇都宮大学)

次の10年に向かって

このたび,一般社団法人日本光学会の会長に就任いたしました。黒田和男初代会長,谷田純元会長,山口進元会長,川田善正前会長の後を引き継ぎ,5代目の会長となります。旧日本光学会の幹事長からの長い伝統のある会長職を引き継ぐにはまだまだ力不足ではありますが,本学会のさらなる発展のために尽力していきたく存じます。皆様のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

一般社団法人日本光学会は,1952年に応用物理学会内に設立された光学懇話会を起源とし,応用物理学会分科会日本光学会を経て,2014年9月に一般社団法人として発足しました。すでに,73年の歴史と伝統のある学会です。おもな活動は,機関誌「光学」および英文論文誌Optical Reviewの刊行,年次学術講演会Optics & Photonics Japan(OPJ)や光学シンポジウム,冬期講習会と,17件の研究グループおよび5件の産学連携専門委員会が挙げられます。また,国際交流も活発で,Optica, SPIE, The Optical Society of Korea (OSK), The European Optical Society (EOS), Taiwan Photonics Society (TPS), The Chinese Optical Society (COS), The Chinese Society for Optical Engineering (CSOE)の海外7団体と協定を結び,お互いの年次大会での相互訪問を中心に活動を続けています。

現在,日本の多くの学会が会員減少に悩まされています。特に,学生会員と企業所属の若手会員の減少が目立っているそうです。日本の博士課程進学率はOECD加盟国の中で最下位,かつピークの2003年から21%も減少しているという統計データがあります。これらは,わが国の国際競争力の低下とつながっています。ここでは,博士後期課程へのキャリア形成やスキルアップ教育の場が求められます。日本光学会も社会から必要とされる学会へと改革していく必要があると思います。

本会には学生の頃から参加させていただいています。2000~2001年に庶務幹事を務め,当時の幹事長のサポートの仕事により,学会の仕組みも学んできました。川田前会長も書かれている,日本光学会の将来を懸念して学会を改革しようという若手の取り組みを間近に見てきました。これらの熱意が10年前の法人化につながっているのだと思います。この熱意が次の世代へと引き継がれ,日本の競争力向上へ貢献できる学会として,皆様と一緒に盛り上げていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

令和7年5月