- 眼球光学系の特徴と屈折矯正 (魚里 博,北里大学 医療衛生学部/ 同大学院 医療系研究科)
- 眼球光学系はカメラによく例えられるが,厳密には多くの点で異なっている.その代表的なものには,非共軸,非球面,偏心光学系,さらには屈折率分布型レンズや像面の湾曲,像空間の屈折率が物体空間と異なることなどがある.このような眼球光学系の特殊性を正しく理解しておくことは,眼科臨床検査や診断・手術のみならず人工視覚系の構築,視覚代行やマシンビジョンさらには検査機器の開発・視覚実験を実施する上でも極めて重要である.我が国でも20世紀末にエキシマレーザーの認可が下りて,角膜の屈折矯正手術が急激に普及している.従来の眼鏡やコンタクトレンズあるいは白内障手術時の眼内レンズなどによる光学矯正以外に手術矯正が加わったことでその選択の幅が広がり,不同視や不正乱視などの矯正にも期待がもたれている.このような白内障や角膜の矯正手術においても眼球光学系の特殊性を考慮することは,術後の視機能を高める意味からも重要である.本講演では,眼球の光学特性だけでなく,白内障を含む角膜矯正手術における眼球光学系について主に屈折矯正の観点から言及する予定である.
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