日本光学会について
三代目会長 山口 進
会長 山口 進
(コニカミノルタ)
このたび、一般社団法人日本光学会の会長に就任いたしました。黒田初代会長、谷田前会長の後を引き継ぐにはまだまだ力不足ではありますが、「令和」最初の会長として、フレッシュな時代の追い風を力に変えながら、本学会のさらなる発展のために全力で臨む所存です。
2014年9月に発足した一般社団法人日本光学会は、1952年に応用物理学会内に設立された光学懇話会を前身とし、応用物理学会分科会日本光学会時代を経て、2019年で67年目となる歴史のある学会です。新・日本光学会設立からの4年半の間、機関誌「光学」および英文論文誌Optical Review(電子版)の刊行、年次学術講演OPJや光学シンポジウム、冬期講習会の開催という従来活動の継続にとどまらず、コンパクトな組織で迅速に意思決定できる体制を構築し、新たな取り組みを進めてきました。国内外学術団体との連携では、応用物理学会分科会時代の海外学術交流協定の継承に加え、Thailand Optics and Photonics Society(TOPS)とも協定締結を行い、国内では一般社団法人レーザー学会との連携強化にも取り組みつつあります。また、2017年度から、冬期講習会・光学シンポジウム・OPJの各主要行事において年間テーマを設定し、各行事での企画に連動性をもたせました(2019年度は「超スマート社会・超スマート光学」)。OPJでは海外学術団体とのジョイントシンポジウムを積極的に企画運営し、好評であったOSJ-OSAジョイントシンポジウムは、2018年には韓国光学会(OSK)を加えたAnnual Joint Symposia on Opticsに進化しました。傘下の研究グループにおいては、フォトダイナミズム研究グループ、AI Optics研究グループの2つが新たに発足しています。2018年には、これらの活動実績が認められ、日本学術会議より協力学術研究団体としての指定を受けました。
その一方、会員数の伸び悩みは設立時以来からの課題です。学会は会員である研究者・技術者のために存在するプラットフォームと考えることができます。会員の皆様が最新の成果を発信し、討論により互いに研鑽され、その成果物が産業界に普及していくという価値創出サイクルは、多くの会員の皆様に日本光学会というプラットフォームを活用いただいてこそ効果的に回り続けるものと確信しています。昨今は「VUCA」の時代と称され(Volatility(激動)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(不透明性))、世界の政治や経済から企業や就業者に至るまで、ありとあらゆるものを取り巻く環境が激しく変化する視界不良な時代となりました。今の姿を維持するだけでは世の中の変化・進化に取り残されてしまいます。日本光学会は、新時代に即したあるべき姿を志向しながら、多くの研究者・技術者が集う、そして光学の新たな分野の開拓につながる環境を常に提供していくことができる学会でありたいと考えています。
会員の皆様におかれましては、活性化をより一層進めていくにあたり、これまでにも増しての積極的なご支援とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
令和元年