第24回光学シンポジウム(光学技術・学術講演会)
ア ブ ス ト ラ ク ト

[フォトニック結晶]


11. フォトニック結晶とその応用光デバイス[招待講演]

東北大学  大寺康夫、佐藤 尚、川嶋貴之、花泉 修、川上彰二郎

光の波長の1/2程度の周期で複数の透明媒質が周期配列した人工媒質である「フォトニック結晶」について、その作製方法の現状と問題点を概説する。また我々のグループで研究しているシリコン/石英系フォトニック結晶について、その作製方法と光学特性の特徴、および導波路、偏光分離素子、スーパープリズムなどの今後の興味ある応用デバイス例について紹介する。


12. フォトニック結晶における「屈折」現象

日本電信電話(株)  納富雅也

フォトニック結晶に対して光ビームを入射した時のビーム伝搬は基本的には多重回折で決まり、スネルの法則で記述される通常の屈折現象とは異なるものである。ところがある条件下ではフォトニック結晶が仮想的屈折率を持った物質として振る舞う領域がある。この仮想的屈折率はフォトニックバンド構造によって決まり、通常の物質では実現しえない負の値などを取ることができ、興味深いビーム伝搬現象が実現する。また、この現象を用いて逆にフォトニックバンド構造を直接測定することが可能であることを示す。


13. フォトニック結晶光学 ―スーパープリズム、セルフコリメーション現象 ―

日本電気(株)  小坂英男

光を自在に操る結晶、"フォトニック結晶"において最近明らかにした現象を総合報告する。通常プリズムの500倍も大きな波長分散を示す"スーパープリズム現象"、回折限界を超えた平行光線束を発生する"セルフコリメーション現象"など、既存の光学では解釈できない。これらの解釈には固体物理、電磁気学、計算物理などを取り込んだ"フォトニック結晶光学"が必要である。発表では波長多重通信などへの応用についても触れる。


14. 高規則性陽極酸化アルミナの作製と可視域2次元フォトニック結晶特性

東京都立大学、 日本電信電話(株)*   益田秀樹、大宅正恭、阿相英孝、西尾和之、中尾正史*、納富雅也*、横尾 篤*、玉村敏昭*

Alの陽極酸化により形成される陽極酸化ポーラスアルミナは,自己組織化的に高アスペクト比チャンネルアレー構造を形成することから,可視光域における2次元フォトニック結晶材料としての応用が期待される.本報告では,インデンテーション処理を用いる高規則性陽酸化ポーラスアルミナの作製と,2次元フォトニック結晶特性に関して検討を加えた結果について報告を行う.



第24回光学シンポジウム