【一般講演の概要】


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フォトニック結晶素子を用いた軸対称偏光ビーム
井上 喜彦1、小澤 祐市2、佐藤 俊一2、佐藤 尚、川嶋 貴之1、川上 彰二郎1,3
1株式会社フォトニックラティス、2東北大学多元物質科学研究所、3財団法人 仙台応用情報学研究振興財団
偏光分布が光軸に対して対称である軸対称レーザービームは、その集光特性やレーザ加工効率の向上、焦点付近に現れるユニークな電場分布などが着目されている。我々は、レーザ共振器のビーム取り出し側に、自己クローニングフォトニック結晶技術で作製された同心円状反射型偏光子を用いることにより、軸対称レーザの発振に成功した。詳細は当日報告する。

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フォトニック結晶を用いた偏光イメージングカメラの作製と応用
川嶋 貴之1、佐々木 昌宣1、井上 喜彦1、本間 洋1、佐藤 尚1、太田 晋一2、川上 彰二郎1,3
1(株)フォトニックラティス、2宮城県産業技術総合センター、 3(財)仙台応用情報学研究振興財団
フォトニック結晶を用いることで、CCDの画素ピッチと同じ間隔で透過軸の異なる偏光子アレイが実現できる。その偏光子アレイとCCDと組み合わせることで、偏光イメージングカメラを作製している。そのカメラでは画素単位で偏光情報が得られるため、2次元の偏光情報を一度の撮影で得ることができる。本発表では、そのカメラの構造及び原理と、その応用の一例として透明樹脂材料の複屈折測定に用いた例について報告する。

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グローバル最適化手法 GE2
一色真幸、金子清一
一色オプティクス、チャート株式会社
レンズの性能と安定性とを向上させる目的でq-segmentation手法を導入した。これはエスケープ関数によるグローバル最適化法(Global Explorer)の実験結果を考慮した結果で、実用性に重点を置いている。この手法の内容と実例を示し、今後の問題点に触れる。

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光線収差のZernike展開を使った光学系の最適化
成相恭二、 清原元輔
国立天文台、株式会社 清原光学
光線収差をZernike展開したら出て来るZernike多項式のpeak/valleyの座標での光線追跡値を使って多項式にかかる係数を推定し,それを小さくすることで,光学系の最適化をすることができる.従来の方法では不可能であった9次,11次,...、と言った球面収差の補正も可能になる.F/0.8, φ30m望遠鏡の主鏡検査のためのヌルレンズの設計や,すばる望遠鏡の主焦点カメラの後継機Hyper Suprime-Camの設計の例を示す.

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Shuttle光学系を使用した高画角・高解像のHMDの開発
松永智美,猪口和隆,山崎章市
キヤノン株式会社
近年開発が進んでいる小型高精細な反射型液晶を用いて広画角表示を実現するには,高倍率な1回結像光学系が必要であるが,通常の構成では系が長くなりHMD用光学系としては不適当である.我々は1回結像光学系に,自由曲面プリズムを使用したShuttle光学系という新構成を取り入れ,歪曲収差を電子的に補正することで,0.88インチSXGA液晶画面を対角76度に広画角表示する小型な高解像HMD光学系を開発した.

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3次元的な偏心構造による広角反射光学系の設計
中野貴敬、松本佳宏、玉川恭久
三菱電機(株)情報総研
反射光学系は波長分散が発生しないため広帯域な撮像システムに適している。本発表では、3面反射光学系の対称性を完全になくすことで明るさと広角を両立した光学系の設計例を示す。非対称性な光学系において反射鏡による光線遮蔽を除去するには、3次元的な構造配置を把握する必要がある。3次元的な鏡面配置を2次元球面座標に置き換えることで構造把握を容易にした。F/4、画角30°を満足する光学系を設計し、試作を行った。

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全方位光学系
研野 孝吉
オリンパス株式会社 未来創造研究所
前回、回転対称面(回転自由曲面)を使ったパノラマ光学系の設計に付いて発表した。今回これをされに発展させた軸対称自由曲面を使うことにより、短時間に高い自由度を持った全方位光学系を設計する手法を開発した。さらに、軸対称自由曲面を用いて設計したレンズを開発し、これを用いて試作した全方位プロジェクターについて報告する。

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微細偏光子アレイを用いた偏光計測モジュールとその応用
佐藤尚1、荒木武1、本間洋1、川上彰二郎1,2
1(株)フォトニックラティス 2(財)仙台応用情報学研究振興財団
光学フィルムのリタデーション計測や薄膜の厚さ計測など、偏光を用いた計測は様々な製造工程で重要となっている。フォトニック結晶からなる偏光子は透過軸を任意の方向に高精度で集積化でき、CCDセンサーと一体化することで駆動部なしで高精度・安定な偏光計測を行なうことができる。本偏光計測モジュールを用いて、光学フィルムのリタデーションおよび任意の方位角を同時計測する方法、および小型のエリプソメータを開発したので報告する。

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多重露光撮影による超解像イメージング
藤原智之、松原 健、西 一樹
電気通信大学
超解像システムは,古典的には光の回折による解像限界を越えるものであったが、今日では撮像素子の画素間隔で決まる解像限界の問題を扱うアプローチが中心になっている.その新たな手法として、一定時間間隔で発光させたフラッシュ照明下で,被写体を移動させながら撮影した多重露光画像に対し,折り返し歪を除去する処理を施し超解像を実現する手法を提案する.本手法により2倍の解像度を実現した実験結果についても紹介する.

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コリニアホログラフィックメモリーにおけるページ間クロストークノイズ
寺田 優, 芦塚 泰, 藤村 隆史, 志村 努, 黒田 和男
東京大学大学院工学系研究科 物理工学専攻 黒田・志村研究室
コリニアホログラフィックメモリーはその記録・再生過程の複雑さ故に、原理・特性が明らかとなっていなかった。今回我々は、コリニア方式におけるシフト選択性の参照光パターン依存性を、実験、シミュレーションの両方で確認した。またシフト多重記録計算を行い、ページ間クロストークノイズの評価を行った。その結果、SNRは多重度に反比例すること、また著しくSNRが低下するシフトピッチが存在することを明らかにした。

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全方位距離計測による三次元モデル化
宮佐英紀、横田和之、日比野浩三、中島啓幾
早稲田大学先進理工学研究科
物体を三次元距離計測する技術はロボットビジョン、セキュリティ等の分野でニーズが高い。本講演ではコニカルビームと全方位カメラを用いて一度に360度全方位の距離計測を行なうレンジファインダーを提案する。本計測法は光切断法を応用したものでありスリット光の代わりにコニカルビームを全方位に照射し、光切断線を全方位カメラで撮影する。測定結果の誤差解析を行ない、センサ周囲の三次元モデルを表示する。

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ガラスで封止したGaN系発光ダイオード
松本修治、中村伸宏、杉本直樹、関根実
旭硝子(株) 中央研究所
約600℃の加熱プロセスにより、高屈折率ガラスで封止したGaN系青色LEDを作成した。従来の樹脂封止LEDよりも耐光・耐熱性および光取り出し効率が優れていることを確認した。さらに特殊なプロセスでガラスを球状にすることにより、出射光の指向性を制御できることを見出した。

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LED封止球ガラスの光学特性と光源への応用
関根実、中村伸宏、松本修治、杉本直樹
旭硝子(株) 中央研究所
高屈折率ガラスを安価なプロセスでLED発光部に合わせて最適な球状にすることにより、LED封止と球レンズ効果を併せ持つ球レンズ一体化LEDを作成した。その形状と高屈折率材料の効果により、光学特性は従来の樹脂封止LEDよりも指向性、均一性、取出し効率等に優れ、出射光分布の最適化も可能であることを見出した。これは様々な光学分野の微小光源として応用可能であるが、超小型プロジェクタ用への応用例を示す。

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レンズアレイ及び回折格子フィルムによるLEDの配光制御
真部勝英、待田整人、元垣内敦司、三宅秀人、平松
三重大学大学院工学研究科
レンズアレイや回折格子フィルムを用いたLEDの配光制御について報告する。点光源のLEDを照明に応用するためには、LED光の配光を制御して、線状及び面状の照度分布を得ることが必要である。LED光をシリンダーレンズアレイに通すと、線状の照度分布を得た。一方、マイクロレンズアレイや回折格子にLED光を通すと、多点状照度分布や面状照度分布が得られ、レンズアレイや回折格子はLED光の配光制御に有効である。

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専用CMOSイメージセンサを用いた850-nm帯波長多重屋内光無線LANの基礎実
香川景一郎,宮脇智也,長畑樹,布下正宏,太田淳
奈良先端科学技術大学院大学
多点同時高速光信号受信機能をもつ専用CMOSイメージセンサを利用することで,ノードの位置情報をネットワークアクセスに利用するとともに,ダウンリンク速度を波長多重化技術により高速化した屋内光無線LANシステムを開発している.0.35-μm CMOSプロセスにより試作した64×64画素・4点同時データ受信機能をもつ専用イメージセンサを用いて,波長多重屋内光無線LANの原理実証プロトタイプシステムを構築し,850nm帯での波長多重空間光データ伝送について検討した.

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手ブレの3次元計測とその解析
鈴木 伴典、荻野 龍一、西 一樹
電気通信大学
最近のデジタルカメラには手ブレ補正機能を搭載した製品が多く普及しているが,その効果は撮影画像の見た目による主観的な評価に頼っているのが現状である。この問題に対し我々は,テストパターンに対する撮影画像を解析するだけで,カメラの3軸回転運動として手ブレ軌跡を検出し,その結果より手ブレ補正の効果を定量的に評価することに成功している.その原理と手ブレ模擬ステージを用いた評価結果について紹介する.

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静電駆動型DMの開発(動特性の解析)
増西 桂、古川 亮、古賀 章浩、川島 浩幸、小林 亮夫、籾内 正幸
(株)東芝、(株)トプコン
我々は、波面収差補正機能を備えた眼底検査装置の実現を目指し、静電駆動型DMの開発を進めている。眼底視細胞の観察の為には、眼球の回転や並進運動といった動作に対してもDMを追従させる必要があり、高い動特性が要求される。そこで、スクイーズフィルム効果や非線形バネ効果などを考慮して、DMの各要素をモデル化し、等価回路による動特性解析を試みた。その結果、実測結果と整合性がとれるデータが得られたので報告する。


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マルチレベルバイナリ型液晶光学素子とその特性
栗原 誠、橋本 信幸
シチズン・ディスプレイズ(株)技術部
我々は、液晶光学素子を用いて光波面変調をアクティブに制御し、近年DVD光ピックアップ用の収差補正素子を実用化した。更に、高機能化に向けてモスアイ構造を液晶セル内に取り込み透過率変動の低減効果を確認した。今回は、回折光の制御をアクティブに行うためにマルチレベルのバイナリ構造を液晶セルに取り込む事を試みた。その特徴と動作について報告する。

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プレナ―型回折格子による合波干渉リニアエンコーダの構成とその特性
鳥居康弘、宮川大志、宮本 敏之1、岡本 永三1
職業能力開発総合大、TAMA-TLO
回折格子のスケールに入射した光を、+1次、−1次の回折光に分岐し、この2つの光を合波干渉させるリニアエンコーダを回折格子で構成して、分解能、調整、位置合せに優れたプレナー型のシステム構成法を明らかにした。スケールに1200本/mmの回折格子を用い、A、B相信号を検出できる構成で、nmオーダの分解能を有するエンコーダを実現できることを実証した。

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高効率・高分散な近赤外VPHグリズムの作製と波長分離デバイスへの応用
中嶋 薫、駒井友紀、渡邉恵理子、杜塚芙美、安西志摩子、小舘香椎子
日本女子大学理学研究科
フォトニックネットワーク用波長分離デバイスとして、回折効率80%以上、波長分解能0.08nmを満たす近赤外体積型屈折率変調(VPH)グレーティングを提案した。波長1550nmでブラッグ条件を満たすためにグレーティングを2つのプリズムで挟みVPHグリズムとする最適設計を行った。このVPHグレーティングの作製には、2光束干渉露光系に位相ロック技術を導入し、周期700nm、膜厚14 m で、回折効率90%(波長1550nm)を実現した。このVPHグリズムを用い、広帯域スペクトルの波長間隔0.08nmでの分離に成功した。

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新しい分散素子と分光器
海老塚 昇
甲南大学
PH (Volume Phase Holographic) gratingと新しいスリット状の溝が配列されたImmersion gratingやクシ状にミラーが配列されたQuasi-Bragg gratingは分光観測装置のサイズを劇的に小型化することが可能である。また、VPHgratingやQuasi-Bragg grating用の波長帯域可変機構は高い効率を保ちながら分光器の計測波長領域を容易に変えることができる。

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日本光学会(応用物理学会)主催/第32回光学シンポジウム