実行委員長の挨拶
第35回光学シンポジウムは2010年7月8日、9日の二日間にわたり、東京大学生産技術研究所An棟コンベンションホールにて開催されました。本シンポジウムは、光学関係の研究者・技術者が集まり、産学連携の「場」として発足いたしました。以来毎年開催され、今年で35回を迎えることとなりました。その間光学設計、製作、評価をテーマの柱とし、実用的な議論が活発に行われてきました。
本シンポジウムは、日本光学会主催の会合としては、Optics & Photonics Japan (OPJ) に次ぐ規模のものです。しかしOPJと異なる点として、マルチセッションではないことが挙げられます。それぞれ良いところはありますが、光学シンポジウムの場合、一度により多くの方の前で最新の研究成果を発表できる、また様々な分野の方の講演を聞くことができるという特徴があり、産学含めいろいろな方との交流が生まれる貴重な場にもなっております。
本年度の最終的な講演数は26件、また参加者数も263名となり、盛況のうちに閉会を迎えることができました。
招待講演として、8人の方にお願いしました。
製品に適用されている今の技術として、(株)ニコンの後藤様により、世界で初めて超小型プロジェクタを搭載したデジタルカメラの開発について、また(株)東芝の江川様より、Wide Focusing方式による被写界深度拡大を図ったカメラモジュールについて、またHOYA(株)の玉田様より、多孔質シリカ膜を用いた高性能な反射防止膜 『エアロ・ブライト・コーティング』について、ご講演頂きました。
さらに社会的に注目されている技術として、NHK放送技術研究所の岡野様より、将来の3D技術としてのインテグラル立体テレビについて、またコニカミノルタオプトの森様より、持続可能エネルギーとして注目されている集光太陽熱発電の特殊反射鏡の開発についてご講演頂きました。
そして今後ますます発展が期待される技術として、長岡技術科学大学の小野先生より、多様な光デバイスや光記録技術への応用が期待される光波配向制御技術を用いた偏光制御について、また名古屋大学の川瀬先生より、材料分野、環境計測分野、バイオテクノロジー分野等多岐にわたる分野での画期的な応用が期待されるテラヘルツ波に関して、東京大学の大津先生より、従来実現不可能であった新機能や現象を可能とする「質的変革」をもたらすナノフォトニクスと、それらを用いた様々な応用展開についてご講演いただきました。
一般講演においても、さまざまな分野から18件の応募を頂き、盛況なシンポジウムを開催することができました。ご講演者の皆様には改めてお礼申し上げます。
光学シンポジウムでは企業、大学・研究機関の方々からなる実行委員会を組織し、昨年の11月から8カ月にわたって準備を行ってきました。これら実行委員の皆様のご尽力により、このように無事に閉会を迎えることができました。この場をお借りしまして、実行委員の皆様にお礼申し上げます。
なお、光学シンポジウムは来年も7月上旬に東京大学生産技術研究所コンベンショナルホールにて開催される予定です。本シンポジウムにご参加頂いた方々を含め、多くの方々の積極的な講演のご応募をお待ちしております。
最後になりましたが、本シンポジウムの運営にご尽力いただいた東京大学生産技術研究所の関係の皆様、武田幹事長をはじめとする日本光学会関係の皆様、ならびに実行委員の皆様および参加者の皆様に感謝を申し上げ、開催報告とさせていただきます。
2010年7月16日
岡野英明[(株)東芝]
講演会の様子
日本光学会幹事長である武田光夫先生より開会の辞を賜りました。
NHK放送技術研究所 岡野様より、
「屈折率分布レンズアレイを用いたインテグラル立体テレビ」
という題目でご講演いただきました。
長岡技術科学大学 小野先生より、
「光機能性液晶へのベクトルホログラム記録と偏光制御回折格子」
という題目でご講演いただきました。
コニカミノルタオプト梶@森様より、
「集光太陽熱発電用特殊反射鏡の開発」
という題目でご講演いただきました。
名古屋大学 川瀬先生より、
「テラヘルツ波の新奇発生方式と応用展開」
という題目でご講演いただきました。
潟jコン 後藤様より、
「デジタルカメラ搭載用超小型プロジェクターユニットの開発」
という題目でご講演いただきました。
鞄月ナ 江川様より、
「被写界深度を拡大したカメラモジュールの開発」
という題目でご講演いただきました。
HOYA梶@玉田様より、
「多孔質シリカ膜を用いた高性能反射防止膜『エアロ・ブライト・コーティング』の開発」
という題目でご講演いただきました。
東京大学 大津先生より、
「ナノフォトニクスとその産業展開」
という題目でご講演いただきました。
会場の様子
展示会の様子
東京大学生産技術研究所コンベンションホールにて