光学迷彩によるDiminished Reality の実装とその実装
- 講演者
- 稲見昌彦(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
- 講演概要
- 我々は感覚・認知的透明性に着目することで、実環境から対象を「減算」する技術「Diminished Reality」を確立することを目指している。従来の電子デバイスやロボットなど、環境に情報を加算する技術に対し、本研究が目指す,情報の減算技術が加わることで、ユーザに認知させる情報量を自在に加減することが可能となる。本講演では再帰性投影技術、光学迷彩などの例を踏まえつつ、人間調和型の情報技術の将来像を展望する。
参考: 2011年度経済産業省のInnovative Technologies採用テーマ
青色光による網膜光傷害
- 講演者
- 植田 俊彦(昭和大学 眼科)
- 講演概要
- 光によって眼では様々な変化が生じている。今回は特に視覚に最も重要な網膜の傷害を考えてみる。網膜では光は電気信号に変換されているが、同時に光は傷害をもたらしている。傷害を受けやすいのは視細胞と網膜色素上皮細胞である。分光透過度から水晶体による短波長可視光の吸収を考慮すると440nmが最も強い傷害をもたらす。その光を吸収する分子としてはレチナールまたはそのphotobleaching物質が有力候補と考えられる。3重項励起状態からエネルギーを受け生成された一重項酸素酸素が、網膜を傷害するという光化学反応が関与している。さらにこのメカニズムに加齢変化が加味されより複雑な現象が生じる。この様な観点から、網膜光傷害を考えてみたい。
4Kデジタルシネマとそのレンズ技術
- 講演者
- 臼井 文昭 (キヤノン株式会社 光学技術研究所)
- 講演概要
- 近年、シネマの現場ではフィルムと同等以上の解像力が得られるというデジタルシステムの評価の向上に伴い、4Kデジタルシステムでの撮影が盛んになりつつある。今ではこのシステムは映画用途に留まらず、放送用・制作用にも浸透しつつある。これまで一眼レフカメラや放送用レンズを提供してきた我々はこの度4Kという高精細用途に最適なカメラとレンズを開発した。本講演では、4Kデジタルシネマシステムの概要を説明し、その用途に特化して開発したレンズ群の最新技術について紹介する。
実数値進化計算とその光学系設計への応用
- 講演者
- 小野 功 (東京工業大学)
- 講演概要
- 実数値進化計算は,次の2つの性質をもつ困難な連続関数最適化において高い性能を示す最適化手法として注目を集めている:1) 目的関数がブラックボックス性,非線形性,多峰性を有する, 2) 制約条件として非明示制約を有する.目的関数がブラックボックスであるとは,その代数的表現が与えられないことを意味する.また,問題が非明示制約を有するとき,解の実行可能性は目的関数が意味のある値をもつかにより判定される.光学系設計問題は,上記の性質を併せ持つ困難な問題であると考えられる.本講演では,最新の実数値進化計算手法とその光学系設計問題への適用結果について紹介する
累進屈折力レンズの光学設計及び評価方法
- 講演者
- 祁 華(HOYA株式会社ビジョンケアカンパニー)
- 講演概要
- 眼鏡はレンズ一枚の光学系ではあるが、眼の屈折異常の補正はもちろん、加齢による調節力の衰えを補う累進屈折力機能と、眼位異常や固視ずれを補正するプリズム機能も実現可能である。この報告では、限られた自由度でどのように多彩な光学機能を持たせるか、またはどのように眼鏡レンズ評価するかについて、累進屈折力レンズを重点に説明し、最後に眼鏡レンズに関する最近の話題を紹介する。
銀ナノ石畳構造による波長選択遮蔽フィルム
- 講演者
- 谷 武晴(富士フイルム株式会社 R&D統括本部 先端コア技術研究所)
- 講演概要
- 我々は、平板状の銀ナノ粒子を単層高密度に分散させた銀ナノ石畳構造が、局在プラズモン共鳴の散乱を増強し、共鳴波長付近で反射膜となることを見出した。電磁場光学シミュレーションにより設計した構造を、塗布工程により大面積で作成するプロセスを構築し、可視光を透過しつつ、近赤外光を反射する遮熱フィルムへの応用を果たした。
レーザープロジェクタ搭載ヘッドアップディスプレイ
- 講演者
- 野本 貴之(パイオニア株式会社研究開発部第4研究部)
- 講演概要
- フロントウインドウの先に37インチ相当の絵を現実の風景に重ねて表示できる車載用ヘッドアップディスプレイを開発した。レーザープロジェクタを用いて広い視点範囲と充分な明るさを同時に満足させる光学設計を行い、車両上部(サンバイザの位置)に取り付け可能なコンパクトな筐体に収めた。車載用ヘッドアップディスプレイは視線移動の短縮化などで安全性への貢献が期待されている。
参考: 2011年度経済産業省のInnovative Technologies採用テーマ
位相フレネルレンズを使用した顕微鏡対物レンズの開発
- 講演者
- 吉田 三環子(株式会社ニコン コアテクノロジーセンター 研究開発本部)
- 講演概要
- 回折光学素子(位相フレネルレンズ)は従来の屈折光学系にはない異常分散性を持ち、屈折型のレンズと組み合わせることにより、高度な色収差の補正が可能となる。この特性に着目し、顕微鏡対物レンズに位相フレネルレンズを採用することで、色収差を高度に補正し、鮮明でクリアな像と長作動距離を実現した。