日本光学会について
会長挨拶
日本光学会会長
川田 善正(静岡大学)
新しい時代の日本光学会に向けて
このたび、一般社団法人日本光学会の会長に就任いたしました。黒田初代会長、谷田元会長、山口前会長の後を引き継ぎ、4代目の会長となります。日本光学会には学生の頃から参加させていただき、私の研究の発信、議論を行う中心の場の一つとして活動させていただいてきましたので、会長を務めさせていただくことは、大変光栄であると感じますとともに、身の引き締まる思いでございます。力の及ばない点については会員の皆様のご支援ご協力をいただきながら、本学会のさらなる発展のために全力で臨む所存です。
一般社団法人日本光学会は、1952年に応用物理学会内に設立された光学懇話会を起源とし、応用物理学会分科会日本光学会を経て、2014年9月に発足しました。昨年、70周年を迎えた歴史と伝統のある学会です。新しい日本光学会では、機関誌「光学」および英文論文誌 “Optical Review” の刊行、年次学術講演会Optics & Photonics Japan (OPJ)や光学シンポジウム、冬期講習会などの活動を引き継ぎつつ、AIやX線などの研究グループや産学連携に関わる専門委員会の発足など体制を拡充して、活発に活動してまいりました。
コロナ禍により学会活動が大きく制限され、また今後は、少子化に伴う会員数の減少、論文の引用数などの指標における日本の科学技術の国際的な地位の低迷など、学会にとっても厳しい時代が続くものと思います。その一方で、コロナ禍が落ち着く状況の中で、学会に参加し、対面で議論する意義も再評価されつつあると感じます。学会は、会員の相互の交流と情報交換を行う場であり、学会に参加すれば、そこに同じ分野に興味を持ち、科学技術を発展させるために助け合う「仲間」と、互いに切磋琢磨する「ライバル」がいると思います。日本光学会の活動を通して、「仲間」と「ライバル」が互いに和気あいあいと、かつ真摯に議論し、お互いに高め合う、新しい価値を生み出す場として生かされることを目指します。
先日、 2003年の「光学」(Vol. 32, No. 2)に掲載された意見投稿について読み返す機会がありました。当時の若手会員が日本光学会の将来を懸念し、学会を改革しようとして出した意見表明です。私もその一人として名前を連ねましたが、今回、学会をまとめリードすべき立場となり、会員の皆様からご批判をいただく立場となりました。当時の思いを新たにし、時代のニーズに合ったオープンな学会運営、他学会との連携強化など、皆様に支援していただける学会を目指したいと思います。日本光学会が今後も輝き続けるために、会員の皆様と一緒に学会を盛り上げていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
令和5年5月