第47回 光学シンポジウム 招待講演の概要
Eye-sensingを用いた 高実在感ディスプレイの開発
- 講演者
- 中畑 祐治 (ソニーグループ株式会社)
- 講演概要
- 近年のCG映像の制作技術の進化に加え、Volumetric Capturing技術の発展により、良質かつ多種多様な3D映像データが溢れてきている。この3Dデータを高い実在感で表示するディスプレイが求められており、我々はセンシング技術とディスプレイ技術を高度に融合することで実現しようと取り組んでいる。本講演では、我々が開発した“あたかもそこにある”を表現するディスプレイを紹介する。
符号化を駆使した コンピュテーショナルレンズレスイメージング
- 講演者
- 中村 友哉 (大阪大学)
- 講演概要
-
コンピュテーショナルレンズレスイメージングは、
レンズレス符号化計測と画像再構成処理の組み合わせに基づくイメージング技術であり、
イメージング系の薄型化や設計自由度拡大を実現する技術として注目されている。
本講演では、当該技術の基本原理や研究動向を説明するとともに、
講演者のこれまでの研究、及び今後の展望について紹介する。
透明ポリマーの屈折率制御、屈折率予測
- 講演者
- 谷尾 宣久 (公立千歳科学技術大学)
- 講演概要
-
光技術分野にポリマーが利用され、その機能が高度化してくると、様々な場面で屈折率を精密に制御する必要が生じてくる。例えば、レンズ材料としては、高屈折率で低分散なポリマーの開発が求められている。一方、ディスプレイ用反射防止膜には低屈折率なポリマーが必要である。ここでは、透明ポリマーの屈折率特性と分子構造との定量的関係について述べ、屈折率を制御するための構造制御法について解説する。さらに、屈折率をポリマーの化学構造のみから定量的に予測する屈折率予測システムについても紹介させていただく。
凹から凸まで幅広い可変焦点を実現する 誘電体極薄メタレンズ
- 講演者
- 岩見 健太郎 (東京農工大学)
- 講演概要
-
超薄型で多様な機能を実現する誘電体メタレンズについて、その背景と限界、近年の展開を紹介する。誘電体導波路型メタレンズは、サブ波長サイズの誘電体柱の配列からなり、柱の幅を調整することで実効屈折率を制御し、所望の位相格子を得るというアイディアに基づく。我々の研究例として、多結晶または単結晶シリコンを用いた回転型可変焦点メタレンズ・複眼可変焦点レンズ・長波長赤外偏光分離メタレンズなどの例を紹介する。
360度カメラにおける Image Enhancement技術
- 講演者
- 小田巻 誠 (株式会社リコー)
- 講演概要
-
魚眼レンズを用いた360度カメラは大きな画角を持つ一方でその画質は高くない。本研究においてはDNNベースの手法により、360度画像と高画質画像をペアとして学習させることにより、360度画像を高解像度な画像へと変換する手法を提案する。
ライトフィールド光学、光線再生の現在位置
- 講演者
- 岩根 透 (株式会社ニコン)
- 講演概要
-
ライトフィールド(LF)光学はこれまでの結像光学とは基本的な枠組みが異なる。像を光学系で別の空間に生成させるのではなく、像を形成するそれぞれの光線を空間内に再生させるのである。この方法は、コンピュータによる別空間像の合成および解析と多眼光学系によって可能となり、2000年代以降発展してきた。LFカメラとして空間光線情報をそのままデータとして取り込むことだけではなく、表示機として空間に光線を再生する3Dディスプレイ、光学的共役関係の拘束のないコンパクトな光学装置が提案されている。コロナ禍では非接触空間スイッチも期待される。こうしたLF光学の原理と現在のアプリケーションについて述べる。
児童近視進行抑制用 Defocus Incorporated Multiple Segments (DIMS)眼鏡レンズ
- 講演者
- 祁 華 (HOYA株式会社)
- 講演概要
-
子供の近視進行は世界的に流行し、特にアジアで大問題となっている。現在主に行われている対処法として、Orthokeratology (オルソK),低濃度Atropine点眼,多焦点のコンタクトレンズと眼鏡レンズがあげられる。安全性が高く、取り扱いやすい眼鏡レンズは今まで効果が他と比較して低いとされてきた。この報告は全く新しい設計の眼鏡レンズで、海外の臨床試験によって高い近視進行抑制効果が確認されたDIMSレンズを紹介する。
地球観測衛星を支える光学センサ技術とその成果
- 講演者
- 内方 達也 (日本電気株式会社(NEC))
- 講演概要
-
NECは、日本初の衛星搭載用光学観測センサを開発して以来、数多くの衛星搭載用光学センサの開発実績がある。本講演では、これら地球観測センサを支えた光学センサ技術として、検出器開発、光学設計における迷光低減と補正、偏向観測などについて紹介する。また、地球環境の監視、気候変動の予測精度向上、農業、養殖業などに地球観測センサが貢献した成果についても紹介する。
|