第48回 光学シンポジウム
招待講演の概要

メタレンズとAIを融合したスペクトル撮像技術

講演者
曽我部 陽光 (NTTコンピュータ&データサイエンス研究所)
講演概要
スペクトル画像は人の眼では区別困難なものの可視化に利用できるが,撮影装置の複雑さや高速撮影が困難なことから現在の利用は限定的である.本講演では,NTTが開発したシンプルな装置構成で動画撮影可能なスペクトル撮像技術を紹介する.本技術は光メタサーフェス技術と深層学習技術の組み合わせからなり,光学,深層学習両方の観点から本技術を解説する.

レンズレスカメラに適した深層学習モデルとは

講演者
山口 雅浩 (東京工業大学)
講演概要
高機能・超小型画像センサデバイスに向けて注目されるレンズレスカメラでは、計算機による画像再構成が必須であるが、既存手法では画像品質が不十分・計算時間が長いという課題がある。深層学習(DL)の応用も有望であるが、既存のDLはレンズレス光学系の特性を効率的に学習できず良好な性能を達成できない。本講演では、この問題を解決するアプローチとして、セルフアテンションと呼ばれるメカニズムに基づく機械学習モデル「ビジョン・トランスフォーマー」を用いた新たな再構成と、再構成を省略した物体認識の技術を紹介する。

光技術を利用したスマート農業・漁業応用

講演者
藤 寛 (大阪大学)
講演概要
LED照明は植物工場や集魚灯など農業や漁業への応用が拡がっている。他方、半導体レーザー(LD)光源は未だに農業や漁業応用例が少ないが、既にプロジェクターや照明などに使用され、低コスト化、モジュールやシステムの小型化も進むため、今後、開発事例が増えると思われる。本講演では最近研究されている青色LDを使った害虫駆除技術をはじめとして、光技術を利用した農業や漁業の応用装置・システム技術について紹介する。

高精細な3次元撮像のための
インコヒーレントディジタルホログラフィの研究

講演者
信川 輝吉 (NHK放送技術研究所)
講演概要
インコヒーレントディジタルホログラフィ(IDH)は、インコヒーレントな光でホログラムを記録できるため、高精細な3次元撮像を実現するために有望な技術である。しかし、IDHでは、ホログラム記録時のノイズや動画像撮影への対応など、多くの解決すべき技術課題がある。本講演では、それぞれの技術課題を概説し、提案した適応的空間平均によるノイズ低減手法や空間分割位相シフト法による高速撮影技術について紹介する。

IoT(手段)から SoT(目的)へ

講演者
大橋 郁 (エバ・ジャパン株式会社)
講演概要
近年、様々な分野の研究・産業用途において、ハイパースペクトルカメラの活用が進みつつある。ハイパースペクトルカメラは単なるR&D用の技術ではなく、現場の課題に応えるソリューションという「目的」に至るための「手段」である。本講演では、豊富な活用実績をもとに、あらゆる産業から日常生活に至るまで、ハイパースペクトルイメージングが活用され、人々の生活を豊かにする近未来の展望について紹介する。

高輝度中赤外レーザーを用いた
非侵襲血糖値センサー -実用化に向けて-

講演者
山川 考一 (ライトタッチテクノロジー株式会社)
講演概要
我々は最先端のレーザー技術を結集することにより、手のひらサイズの高輝度中赤外線レーザーを開発し、一定の条件の下、国際標準化機構(ISO)が定める計測精度を満たす非侵襲血糖計測技術を確立した。本講演では、医療機関から一般家庭まで広く普及できる小型の非侵襲血糖値センサーの実用化に向けた開発の現状について報告する。

3次元光計算イメージングと
その生命科学及び散乱透視イメージングへの応用

講演者
的場 修 (神戸大学)
講演概要
ディジタルホログラフィー,強度輸送方程式,シングルピクセルイメージングなど光計測技術と計算機イメージングを組み合わせた3次元光計算イメージングの研究が盛んに行われている。本講演ではこれらを概観するとともに,応用先として脳神経科学に代表される生命科学や散乱体内部を可視化する散乱透視イメージングについて紹介する。

量子アニーリングを用いたブラックボックス
最適化によるメタマテリアル開発

講演者
田村 亮 (国立研究開発法人 物質・材料研究機構)
講演概要
機械学習の力を使って,次に作製すべき材料を適切に提案できる手法として,ベイズ最適化を代表としたブラックボックス最適化がある.しかしながら,材料の組成,構造,プロセスの多様性から組合せ爆発が起こってしまい,通常のブラックボックス最適化では非常に計算時間がかかってしまう.そこで,この問題を回避するために,量子アニーリング技術を用いた離散・連続ブラックボックス最適化手法を開発した.組合せ爆発が起こる例として,メタマテリアル材料に着目し,本手法を適用した事例を紹介する.



Copyright © 2023 Optical Symposium. All Rights Reserved.