第36回光学シンポジウム開催報告

実行委員長の挨拶

第36回光学シンポジウムは2011年7月7日から8日の二日間にわたり、東京大学生産技術研究所An棟コンベンションホールにて開催されました。本シンポジウムは、光学関係の研究者・技術者が集まり、産学連携の「場」として発足いたしました。以来毎年開催され、今年で36回を迎えることとなりました。その間、光学設計、製作、評価をテーマの柱とし、最新技術の発表や議論が活発に行われてきました。

本シンポジウムは、日本光学会主催の会合としては、Optics & Photonics Japan (OPJ) に次ぐ規模のものです。光学シンポジウムの特色として、シングルセッションの形式で行われているという点が上げられます。このため、一度により多くの方の前で最新の研究成果を発表できる、また様々な分野の方の講演を聞くことができるという特徴があり、産学含めいろいろな方との交流が生まれる貴重な場にもなっております。

本年度の最終的な講演数は26件、また参加者数も252名となり、盛況のうちに閉会を迎えることができました。

招待講演として、8人の方にお願いしました。

現在、様々な発展を見せているディスプレイ技術について、異なった切り口で興味深いご講演をいただきました。日立コンシューマエレクトロニクス（株）の谷津様より自由曲面を用いて超短投射距離実現したプロジェクタ設計技術について、三菱電機（株）の小島様よりレーザーディスプレイにおけるレーザ光源技術についてご講演いただきました。さらに、（株）東芝の平山様よりインテグラルイメージングによる三次元表示技術についてご講演いただきました。

また、最新の計測技術として、（株）ニコンの大内様より構造化照明を用いることで回折限界を超える超解像度技術を、産業技術総合研究所の美濃島先生よりモード同期レーザを利用した光コム技術が精密計測に与えるインパクトを実例を交えてご講演いただきました。（株）資生堂の桑原様には肌の透明感という光学計測の新たな応用分野についてご講演いただきました。

フォトニクスの分野からはソニー（株）の角様より次世代の光ディスク技術として期待されるマイクロリフレクターについてご講演いただきました。東京大学の荒川先生より量子ドット技術について、QDレーザーとナノフォトニクス素子を中心にご講演いただきました。

一般講演においても、さまざまな分野から18件の応募を頂き、盛況なシンポジウムを開催することができました。ご講演者の皆様には改めてお礼申し上げます。

また、今年度は震災にともない節電を行う必要があり、会場の温度が比較的高めに設定されていたため、ご参加の皆様にはご迷惑をおかけいたしました。開催期間中、長時間にわたって節電にご協力いただき、感謝申し上げます。

光学シンポジウムでは企業、大学・研究機関の方々からなる実行委員会を組織し、昨年の11月から８カ月にわたって準備を行ってきました。特に、今回は実行委員会の最中に東日本大震災に見舞われるなど、いろいろなことがありましたが、実行委員の皆様のご尽力により無事に閉会を迎えることができました。この場をお借りしまして、実行委員の皆様にお礼申し上げます。

なお、光学シンポジウムは来年も６月中旬に東京大学生産技術研究所コンベンショナルホールにて開催される予定です。本シンポジウムにご参加頂いた方々を含め、多くの方々の積極的な講演のご応募をお待ちしております。

最後になりましたが、本シンポジウムの運営にご尽力いただいた東京大学生産技術研究所の関係の皆様、武田幹事長をはじめとする日本光学会関係の皆様、ならびに実行委員の皆様および参加者の皆様に感謝を申し上げ、開催報告とさせていただきます。

2011年8月16日

中野貴敬[三菱電機（株）]