第40回 光学シンポジウム
招待講演の概要

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ホログラム導光板を用いた透過式メガネ型端末

講演者
中野 聡 (ソニー株式会社)
講演概要
テキスト、シンボル、画像等の情報を視界に重ねて表示することによりAR(拡張現実)機能を提供する、透過式メガネ型端末を開発した。 独自のホログラム光学技術により、85%の高透過率と厚さ3.0mmの薄型レンズによる高い視認性を実現。 高輝度(最大1,000cd/m2)かつ両眼表示により様々な環境でも視認性の高い表示を可能とした。 本講演では反射型体積ホログラムを用いた導光板方式光学技術の概要について紹介する。

液晶光学素子のグラスレス3Dディスプレイ応用

講演者
上原 伸一 (株式会社東芝)
講演概要
液晶技術の光学素子応用として、特殊なメガネを用いずに裸眼で立体視が可能なグラスレス3Dディスプレイ向けの屈折率分布型液晶レンズ(液晶GRINレンズ)の開発を進めている。簡素な構造で高画質化ができ、縦横2D/3D表示や部分3D表示、3D視域角切替表示など、様々な機能に適用可能なフレキシビリティを有する。本講演では、液晶光学素子の基盤技術として、光学素子用液晶モード、電極構造、駆動法を中心に概説する。

近赤外光スペクトロスコピーを用いたがん生体機能イメージングの臨床応用

講演者
上田 重人(埼玉医科大学)
講演概要
近赤外分光法による生体機能イメージングの研究は、1980年代以降のテクノロジーの目覚しい発展とともに短時間で正確なデータ解析と画像化に成功し、現在、さかんに臨床研究が行われている。拡散光スペクトロスコピー(Diffuse optical spectroscopy;以下DOS)は低侵襲で利便性の高い新たな代謝イメージングであり、がんの新たな画像診断装置として期待される。これまで我々はDOSを用いた乳がんの臨床研究に精力的に取り組んできたので紹介する。

高感度近赤外分光と非侵襲血液計測への応用

講演者
古川 祐光 (産業技術総合研究所)
講演概要
歌のように「手のひらを太陽に透かしてみれば」、そこから検出できる光のスペクトルは「真っ赤に流れるボクの血潮」を現している。この一見簡単に思える非侵襲血液測定には、何十年にも渡って多くの研究者が取り組んでいるが、いまだ打開策のない夢の技術である。問題は、毎日同じ食事を同じ時間に摂る人がいないことであり、体格も運動量も異なる人に対して、光を照射するだけで果たして血中微量成分が判別可能なのだろうか。高感度分光技術の開発で、この課題に取り組む我々の試みを紹介する。

内視鏡イメージング技術の現状と進歩

講演者
五十嵐 誠 (オリンパス株式会社)
講演概要
癌の早期発見、および、低侵襲治療において、内視鏡の果たす役割は年々大きくなっている。しかし、従来の内視鏡装置は、数mm程度の微小病変の発見や病変の良悪性鑑別、また、効率的な治療の観点で必ずしも十分とは言えない。そこで、本講演では、従来の内視鏡装置が抱える各種課題を改善する新たな内視鏡イメージング技術と、それらが提供する医学的有用性について概説する。

補償光学を用いた眼底イメージング

講演者
宇治 彰人 (京都大学)
講演概要
近年、補償光学(Adaptive Optics: AO)の眼底イメージングへの応用が注目されている。従来、眼底イメージング機器を用いた生体眼の観察では角膜や水晶体の歪みによる収差によって面分解能が低下し、細胞レベルでの観察は困難であったが、眼底観察装置に眼球全体の収差を補正するAOを導入することにより高分解能の形態イメージングを実現できるようになった。補償光学を利用した走査型レーザー検眼鏡 (AOSLO) はコントラストの高い鮮明な像が得られ、視細胞や神経線維、血球を非侵襲的に観察することができる。本講演では、様々な眼底疾患における撮影例や解析結果を中心に解説しその魅力を紹介したい。

LEDアダプティブ・ドライビング・ビームヘッドランプ

講演者
黒須 寛秋 (スタンレー電気株式会社)
講演概要
スタンレー電気は日本初のLEDアレイ方式アダプティブ・ドライビング・ビームを2014年10月に開発完了した。開発品が搭載されたマツダCX-5が2014年11月に発表された。アダプティブ・ドライビング・ビームは、ハイビーム配光の一部を消すことで、先行車・対向車に眩しさを与えないように制御できるヘッドランプシステムである。このシステムにより、前方の道路形状や歩行者を早期にドライバーに認識させ、安心・安全な夜間視界を提供することが可能となった。

複画素構造イメージセンサーによる撮像面位相差AF技術
- Dual Pixel CMOS AF -

講演者
福田 浩一 (キヤノン株式会社)
講演概要
デジタル一眼レフカメラEOS 70Dに搭載されたDual Pixel CMOS AFは、全ての画素が2つの独立したフォトダイオードから成り、撮像と位相差AFの2つの機能を合わせ持つ複画素構造イメージセンサーと、撮像面位相差AF用に新たに開発されたAF演算システムを用いた、革新的な撮像面位相差AF技術である。Dual Pixel CMOS AFにより、光学ファインダー撮影時と同様に、ライブビュー撮影時や動画撮影時などの幅広い撮影条件において、高速かつ滑らかで高品位な位相差AFを実現した。このDual Pixel CMOS AF技術について紹介する。


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