第41回 光学シンポジウム 講演プログラム
6月23日(木)
受付開始 8:30〜
午前の部 (9:00〜12:30)
開会の辞 (9:00〜9:10) |
一般社団法人 日本光学会 会長 黒田 和男〔宇都宮大学〕 |
1.光音響イメージング技術の現状とその医学生物応用【招待講演】
(9:10〜9:50) |
防衛医科大学
石原 美弥 |
光吸収体の分布を画像化する光音響イメージング技術は、光技術と超音波技術の利点を活用できる。装置としても顕微鏡タイプから超音波画像診断装置と同様の形態、CTと同様の形態とレーザーの照明方法と検出の方式のバリエーションに富む。本講演では、技術的な特徴を中心に実際の応用まで、本イメージング技術の発展に期待を込めて紹介したい。
|
2.
回折格子結合型表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光(GC-SPFS)を用いた肝細胞癌マーカー(AFP)の免疫測定系の開発
(9:50〜10:10) |
コニカミノルタ(株)1), 関西学院大学2)
○永江 剛典1), 彼谷 高敏1), 中村 幸登1), 野崎 昭俊1), 井出 陽一1), 石田 賢治1) 田和 圭子2) |
生体内のタンパク質を高感度に検出し、疾病を早期診断する種々の技術が近年開発されている。微小サイズの回折格子表面で起きる表面プラズモン共鳴を利用した本技術は、従来の検出法と比較して高感度な測定が可能であり、装置小型化や高スループット化等の付加価値も期待できる。肝細胞癌マーカーであるα-フェトプロテイン(AFP)をモデルとしたイムノアッセイを実施、感度を検証したので報告する。
|
3.
ナノグレーティング蛍光体の共鳴モードによる指向性発光
(10:10〜10:30) |
パナソニック(株)
○橋谷 亨, 稲田 安寿, 新田 充, 冨田 昇吾, 平沢 拓 |
我々は、新たに考案したナノグレーティング薄膜蛍光体において、導波光とナノグレーティング構造の相互作用による共鳴発光を利用し、蛍光体発光の指向性・偏光を制御できることを実証した。共鳴発光の発光方向・偏光はシミュレーション結果と一致し、また光の状態密度の増加に伴い共鳴発光が増強する効果を実験的に確認した。
|
─ 休憩 (10:30〜10:50) ─
|
4.車載用小型イメージングレーザレーダ【招待講演】
(10:50〜11:30) |
(株)豊田中央研究所
松原 弘幸 |
自動運転において、車両周辺状況を検知するセンサは大変重要な役割を担っている。我々は、距離および角度両方で高い分解能が得られるイメージングレーザレーダの研究を行っており、そのキーデバイスとして高感度受光素子Single Photon Avalanche Diode (SPAD)アレイを試作・使用している。これにより小型・低コストな構成で10fps、202x96点/flame、晴天昼間に反射率9%のターゲットを距離80mまで検知することに成功した。この技術について紹介する。
|
5.
輪帯位相板を用いたWFCによる車載カメラでの可視赤外共用撮像
(11:30〜11:50) |
(株)日立製作所1), 日立マクセル2)
○太田 光彦1), 崎田 康一1), 島野 健1), 杉山 隆1), 柴崎 進2) |
Wavefront Coding (WFC) に用いる輪帯状の位相板を開発し、従来の三次関数位相板と同等の焦点深度拡大効果を確認した。また、輪帯位相板を用いたWFCを自動車用広角レンズに適用し可視照明、赤外照明の条件下での撮像実験を行った。通常のレンズでは波長の差による焦点ずれにより解像度が低下するが、WFCでは両方の照明条件下で解像度の高い像が得られた。
|
6.
規則模様を利用した単一カメラによる三次元変位計測法の開発
(11:50〜12:10) |
産業技術総合研究所1), 横浜国立大学2)
○李 志遠1), 津田 浩1), 彌園 仁志2), 笠井 尚哉2) |
本研究では、規則模様を測定マーカとして利用し、面内変位による模様の位相変化と面外変位による模様ピッチの変化をサンプリングモアレ法によりそれぞれ高精度で検出することで、従来単一カメラでは測定困難であった三次元変位計測を実現する。本手法は複数台のカメラを用いた計測手法に比べて、光学系がシンプルであり、カメラ間の同期が不要で、撮影視野が広いといった利点がある。
|
─ 展示企業告知 (12:10〜12:30) ─
|
─ 昼食 (12:30〜13:30) ─
|
午後の部 (13:30〜18:10)
7.
ガルバノ描画法による異方性回折レンズの形成
(13:30〜13:50) |
長岡科学技術大学1), 兵庫県立大学2), 日産化学工業(株)3)
○野田 浩平1), 坂本 盛嗣1), 佐木 友之1), 川月 喜弘2), 後藤 耕平3), 小野 浩司1) |
光波の重要なパラメータである偏光制御可能な異方性回折素子は高機能光制御デバイスとして注目されている.我々の研究グループではこれまでに光反応性材料を用いた異方性回折素子の形成手法や回折特性について様々に研究を実施している.今回はガルバノ描画系を用いて異方性回折レンズを形成 し,その回折特性を調査したので報告する.
|
8.屈折作用による光量変調を適用した新規輪帯照明法 -iPS細胞の立体観察手法-【招待講演】
(13:50〜14:30) |
オリンパス(株)
鈴木 良政 |
細胞のように無色透明な位相物体の観察手法として位相差観察法が広く用いられている。しかし、位相差観察法は細胞の輪郭が白く輝くアーティファクト(ハロー)が発生し、分解能が低下する問題がある。我々は、顕微鏡の照明光学系に形状を最適化したリングスリットを挿入するだけの非常にシンプルな構成で、ハローを回避しつつ位相物体の立体的な可視化を実現する新規輪帯照明法を開発した。本講演では新規輪帯照明法の構成と原理について解説したのち、iPS細胞の観察例と応用例について紹介する。
|
9.
天文観測用近赤外線分光カメラSWIMSの低温光学系結像評価
(14:30〜14:50) |
東京大学1), オプトクラフト2)
○大橋 宗史1), 本原 顕太郎1), 小西 真広1), 高橋 英則1) 北川 祐太朗1), 小早川 大1), 寺尾 恭範1), 加藤 夏子1), 山室 智康2) |
SWIMSは、チリに東京大学が建設している6.5m赤外線望遠鏡に搭載される近赤外線分光カメラである。常温の物体からは近赤外線で強い黒体放射があるため、観測の際にはカメラの光学系全体を100K以下に冷却する必要がある。本講演では、硝材の屈折率の温度依存性および光学系の温度収縮を考慮した上でSWIMSの結像性能の温度依存性の評価を行った結果を報告する。
|
─ 休憩 (14:50〜15:10) ─
|
10.
エリオットセル内のビームの解析、II.第2光学共役点
(15:10〜15:30) |
国立天文台1), 高知工科大学2), (株)清原光学3)
○成相 恭二1,3), 中根 英昭2), 谷本 亜紀3), 清原 元輔3) |
エリオットセルの入射孔から入ったビームがN回反射する間に光軸の周りをM回まわって同じ孔から出射する場合、入射点と出射点は光学的に共役の関係にある。Nは偶数である。同じビームで反射回数がN/2の時の反射点も入射点とは別な場所にあるが光学共役の関係にある。N/2とMが偶数か奇数かで場合が分かれ、有意なのは3つある。反射回数がNの物を第1光学共役点、N/2の物を第2光学共役点と呼ぶことにする。
|
11.
ハミルトニアン形式光線追跡法を用いた大規模クローキング素子の解析
(15:30〜15:50) |
神戸大学1), 旭化成(株)2)
○田中 健夫1,2), 的場 修1) |
大規模クローキング素子を設計するためのハミルトニアン形式光線追跡法について報告する。ハミルトニアン形式光線追跡法は、光学物性に異方性や不均一性を有した素子を扱うことが可能である。本手法では、更に、素子表面を三角形メッシュによって表現し、任意の3次元形状を扱えるように拡張した。検証の結果、正確なクローキング性能を評価するためには、高分解能メッシュによって素子表面を表現する必要があることが示された。
|
12.
非球面ヌルミラー&CGH干渉計による非球面レンズの計測
(15:50〜16:10) |
(株)清原光学1), (株)エスケーエレクトロニクス2)
○清原 元輔1), 清原 通雄1), 清原 耕輔1), 成相 恭二1) 野口 正人1), 前野 隆一1), 若松 徹2) |
我々は、非球面レンズの透過波面を計測する非球面ヌルミラー干渉計を昨年の本シンポジウムで発表した。この方法ではレンズ全体の良非は判断できるが、不良の原因が表面にあるのか、内部にあるのか判断できなかった。今回我々はヌル干渉計用CGH計測ユニットを開発した。それによりサンプルの非球面表面形状が計測可能となった。通常ユニットでの計測結果からCGHユニットでの形状計測結果を差し引けば、内部要因が分離できる。
|
13.
奇数次非球面のツエルニケ多項式による展開の収束性と奇数次非球面の有効性
(16:10〜16:30) |
東京工芸大学1), 伯東(株)2)
○田邉 貴大1,2), 渋谷 眞人2) |
奇数次非球面が光学設計に有効とされている。奇数次非球面は偶数次のみではテイラー展開できないことから、通常の非球面とは収差特性が異なると考えられてきた。今回我々は有限個のツエルニケ多項式で奇数次非球面の形状と傾きが十分近似できることを示した。即ち回転対称なツエルニケ多項式は偶数次なので、奇数次非球面は偶数次非球面で近似可能である。更に、この結果を実際の光学設計に適用し、収差特性を考察した。
|
─ 休憩 (16:30〜16:50) ─
|
14.
広角3D光学系U
(16:50〜17:10) |
オリンパス(株)
研野 孝吉 |
前回第40回光学シンポジュウムで発表した「軸対称自由曲面を用いた広角3D反射型撮像光学系」の更なる発展があったので、これについて報告する。
|
15.
光学学習を用いた無収差復元信号処理技術の開発
(17:10〜17:30) |
リアロップ(株)
奥村 明弘 |
人の視覚はシンプルな構造なのになぜ歪んで見えないのでしょう?実は脳が補 正しているとも?この脳が行なっている事を信号処理で出来たら、光学の世界は変わる のではないでしょうか?本講演では、そんなコンセプトで、レンズの設計データから光学シミュレー ションを実行、その結果から辞書を生成、その辞書を使って無収差に復元する信号処理方法を提案し、計算機シミュレーションにより効果を確認したので報告する。
|
16.
望遠監視カメラ向け霧補正画像処理技術【招待講演】
(17:30〜18:10) |
(株)リコー
菊地 太郎 |
望遠監視カメラでは、霧やかすみ・PM2.5などの大気中の粒子の散乱の影響により、視認性が著しく悪化する。そこで、視認性を向上させるために、近年霧の散乱モデルを利用して、霧の画像を補正する技術が幾つか提案されている。しかし、コントラストが不十分である処理やリアルタイムに向いていない処理ばかりであった。本講演では、霧の散乱モデルと局所的なコントラストを向上する処理を組み合わせて、従来手法の欠点を大きく改善した画像処理技術を紹介する。
|
─ 意見交換会(18:30〜) ─
シンポジウム参加者は無料です.皆様,奮ってご参加下さい.
|
6月24日(金)
受付開始 8:30〜
午前の部 (9:10〜12:10)
17.
誘導ラマン散乱顕微鏡による高速無標識イメージング【招待講演】
(9:10〜9:50) |
東京大学
小関 泰之 |
誘導ラマン散乱(SRS)顕微法では、2色のパルスレーザーを用いることで、生体の分子振動分光情報を高感度に捉え、無標識の生体を高速に観察することができる。本手法は、無標識での組織イメージングや、脂質等を始めとする小さな生体分子の可視化に有効と考えられている。本講演では、SRS顕微法の原理といくつかの応用について説明するとともに、最近著者らが取り組んできたレーザー光源の実用性向上に関する研究を紹介する。
|
18.
A Low-Noise CMOS Image Sensor Using High-Speed Charge Modulator and Lock-in Pixel Amplifier for Stimulated Raman Scattering
(9:50〜10:10) |
Shizuoka University1), Osaka University2)
○Kamel Mars1), Lioe De Xing1),Shoji Kawahito1),Keita Yasutomi1) Keiichiro Kagawa1),Takahiro Yamada2),Mamoru Hashimoto2) |
A low-noise high-speed CMOS image sensor for stimulated Raman scattering spectroscopy and imaging is presented. Small effective SRS signal generated after SRS process is extracted from large offset component using a CMOS lock-in pixel and double modulation technique. In order cancel the large residual offset component, remove the low frequency noise (1/f), and improve the signal to noise ratio, very low effective SRS signal is extracted and then amplified using in-pixel offset canceling and charge accumulation. The lock-in pixel uses a two-tap high-speed lateral electric field charge modulator (LEFM) to form a large photodiode, and an in-pixel readout circuit composed of a pair of RC low-pass filter, a switched-capacitor (SC) sampling circuit and an integrator using a fully differential amplifier. A prototype chip is implemented using 0.11μm CMOS image sensor process.
SRS spectra of Benzonitrile, stearic acid and 3T3-L1 cells are successfully measured. By selecting a single lock-in pixel and moving the stage holding the samples, SRS images of stearic acid and 3T3-L1 are successfully obtained.
|
19.
フェムト秒光パルスによるスピン波の初期位相制御
(10:10〜10:30) |
東京大学生産技術研究所1), 九州大学2)
吉峯 功1), 田中 嘉人1), ○志村 努1), 佐藤 琢哉2) |
─ 休憩 (10:30〜10:50) ─
|
20.
光渦ビームを用いた量子状態の可視化【招待講演】
(10:50〜11:30) |
分子科学研究所
鹿野 豊 |
量子状態を特徴づけするためには一般的に量子状態推定という方法が使われ、実験データを統計的に処理したものから推定されてきた。しかし、我々は光渦ビームを弱測定理論と呼ばれる量子測定理論の一つの手法に適用することにより量子状態を可視化することができることを提案し、実証した。最初の例として、光の偏光状態を可視化し、次の例として量子情報科学で有用な量子エンタングルメント状態の可視化について議論する。
|
21.
5μm以下で実用性能を有するゲルマニウムイマージョン回折素子
(11:30〜11:50) |
キヤノン(株)
○助川 隆, 北村 強, 鈴木 猛司 |
赤外分光における高分散化に伴う装置の大型化への決定的なソリューションとして、中赤外波長域分光用のゲルマニウム製イマージョン回折光学素子を開発してきた。世界で初めて5μm以下でも十分な実用性能を持つイマージョンエシェル回折素子を開発し、発売を開始した。本素子の実用化により小型・軽量で高性能な赤外分光器が可能となることから、主にその光学性能について報告する。
|
22.
次世代天文学観測装置用の新しい高分散回折格子 II
(11:50〜12:10) |
理化学研究所1), 豊田工業大学2), 東北大学3) シチズンホールディングス(株)4), 東京電機大学5), 国立天文台6)
○海老塚 昇1), 岡本 隆之1), 細畠 拓也1), 山形 豊1) 佐々木 実2), 魚本 幸3), 島津 武仁1), 佐藤 慎也4), 橋本 信幸4) 森田 晋也5), 尾崎 忍夫6), 青木 和光6) |
Quasi-Bragg gratingやBirefringence Bragg-binary (3B) grating等の高い回折効率を達成できる新しい透過型の高分散回折格子について紹介する。また、シリコンやゲルマニウムの階段格子の回折格子の新しい切削加工方法についても紹介する。
|
─ 昼食 (12:10〜13:10) ─
|
午後の部 (13:10〜17:40)
23.
大型放射光施設SPring-8におけるX線顕微CTの開発【招待講演】
(13:10〜13:50) |
高輝度光科学研究センター
竹内 晃久 |
SPring-8では、メゾスコピック領域の非破壊3次元定量観察を可能とする]線顕微CTの開発が進められており、現在は広く利用実験に供されている。]線光学素子として主にフレネルゾーンプレートを利用している。従来]線では不得手とされてきた軽元素系試料に対して、最大1000倍の感度向上が可能な位相コントラスト法を導入し、大きく利用の幅を広げている。本公演ではこれら光学系や基盤技術の紹介とともに、時間が許せば幾つかの利用例を紹介する。
|
24.
3次元超解像顕微鏡用2波長ハイブリッド波長板の作製
(13:50〜14:10) |
オリンパス(株)1), 北里大学2), ブダペスト経済工科大学2)
○池滝 慶記1,2), 熊谷 寛2), コーネル ジャン3), ナンドール ボコル3) |
We fabricated a two-color annular hybrid wave plate for three-dimensional super-resolution microscopy, and experimentally investigated the image properties given by this phase plate. In spite of its simple structure, the plate can provide a three-dimensional super-resolution image. Beside eliminating alignment problems and yielding a compact setup the plate makes our proposed method suitable for commercial microscope systems.
|
25.
誘電体埋め込み金ナノフィンアレイ波長板の透過光特性
(14:10〜14:30) |
東京農工大学1), 日本学術振興会特別研究員 DC2)
○石井 美帆1,2), 岩見 健太郎1), 森田 晋也1), 梅田 倫弘1) |
誘電体埋め込み金ナノフィンアレイはガラス中にアスペクト比が高い金線をサブ波長周期で配置した構造である。光の透過効率が高い点や光の透過特性が偏光方向に強く依存することが特徴として挙げられる。これらの特性を利用し、高い透過効率と偏光変換効率を両立した透過型1/2波長板を実現した。また、光を斜め入射した際には強い一次回折を生じるといったナノフィン構造特有の特性を持つことが明らかになった。
|
─ 休憩 (14:30〜14:50) ─
|
26.
チャープした光コムを用いたスペクトル干渉による瞬時精密3次元イメージング
(14:50〜15:10) |
電気通信大学1), JST-ERATO 知的光シンセサイザ2)
○加藤 峰士1,2), 内田 めぐみ1), 美濃島 薫1) |
近年自動制御などの高度な情報処理のために、瞬時に3次元形状情報を取得する技術が求められている。我々は、ファイバレーザーで発生させた光コムを用いた瞬時3次元計測手法の開発を行っている。講演では、チャープさせた超短パルスのスペクトル干渉を画像素子で計測・解析して同時に多点での距離イメージングを行う手法にいて講演する。
|
27.
ランダム空孔パターンの積層ずらし構造を用いた人工散乱体
(15:10〜15:30) |
神戸大学1), (株)SCREEN ホールディングス2)
○中谷 徳幸1,2), 仁田 功一1), 的場 修1) |
我々は、散乱係数を制御可能な人工散乱体について研究を行っている。ポリマーなどの媒質に微小空孔をランダムに作成し、空孔密度を制御することにより、散乱係数を制御することが可能である。本研究では、単一マスクパターンを用いてランダム空孔配置を一括形成し、マスク位置をずらして作成した空孔パターンを積層して散乱体を作成する、積層ずらし法による人工散乱体を提案し、数値シミュレーションによる散乱特性評価を行った。
|
28.
ポリマー電着法を用いたマイクロレンズアレイの作製と評価
(15:30〜15:50) |
大阪府立産業技術総合研究所1), 大阪大学2)
○金岡 祐介1,2), 山東 悠介1), 田中 剛1), 佐藤 和郎1), 村上 修一1), 櫻井 芳昭1) 谷田 純2) |
これまでに、光の利用効率を改善するためにイメージセンサ上にカラーマイクロレンズを簡便に作製可能なポリマー電着法を提案してきた。ポリマー電着法を用いたマイクロレンズをオンチップ用途だけでなく、複眼カメラやライトフィールドカメラのようなイメージングシステムに適用するために、材料の基本的な物性や様々な大きさ、焦点距離のレンズを作製、評価したので報告する。
|
─ 休憩 (15:50〜16:10) ─
|
29.
遠近両用レンズAI(エーアイ)の開発
(16:10〜16:30) |
(株)ニコン
○内山 幸昌, 水野 正朝 |
両面に累進面を配した遠近両用レンズ・AI(エーアイ)を開発した。AIでは累進面で発生する非点収差をおさえ、ゆれ・ゆがみの大幅な低減を実現した。また、一人ひとりの眼の状態に合わせた光線追跡計算による個別最適化機能、フィッティング状態に合わせて個別に調整する機能を開発し、これまでにはなかった快適な見え心地を実現するレンズを提供することに成功した。講演ではAIの特徴について紹介したい。
|
30.
アポダイゼーションフィルター搭載「XF56mmF1.2 R APD」開発について
(16:30〜16:50) |
富士フイルム(株)
近藤 茂 |
富士フイルムは、デジタルカメラ用交換レンズとして「XF56mmF1.2 R APD」を商品化。APD(アポダイゼーション)フィルターの搭載によりボケ像の輪郭が滑らかになり、柔らかく美しいボケ味を実現しました。ピントの合った部分のシャープな描写とあいまって、立体感のある表現を可能にしました。本講演では、APDフィルターの原理/技術解説に加えて開発の苦労や効果的な撮影方法も紹介します。
|
31.
異常分散特性を持つ材料を採用した高度な色収差補正技術−BRレンズ−【招待講演】
(16:50〜17:30) |
キヤノン(株)
石橋 友彦 |
一眼レフカメラ/ミラーレスカメラ用交換レンズ EF35mm F1.4L U USM に採用した独自開発の「BR レンズ」(Blue Spectrum Refractive Optics)は異常分散特性を持つ有機光学材料を採用した複合レンズであり、極めて高水準の色収差補正を可能にする革新的な技術である。大口径レンズに「BR レンズ」を用いることで、絞り開放から高い描写性能を実現し、色にじみを大幅に低減した。この新開発の光学素子及び色収差補正技術について紹介する。
|
閉会の辞 (17:30〜17:40) |
実行委員長 野村 英司〔コニカミノルタ(株)〕 |
|