第47回 光学シンポジウム 講演プログラム
講演方法については 「講演および聴講 方法」をご参照ください。
6月23日(木)
現地受付開始 9:00〜, オンライン受付開始 9:30〜
午前の部 (10:00〜12:20)
開会の辞 (10:00〜10:10) |
一般社団法人 日本光学会 会長 山口 進〔コニカミノルタ株式会社〕 |
1.
凹から凸まで幅広い可変焦点を実現する誘電体極薄メタレンズ
【招待講演】
(10:10〜10:50) |
東京農工大学
岩見 健太郎 |
超薄型で多様な機能を実現する誘電体メタレンズについて、その背景と限界、近年の展開を紹介する。誘電体導波路型メタレンズは、サブ波長サイズの誘電体柱の配列からなり、柱の幅を調整することで実効屈折率を制御し、所望の位相格子を得るというアイディアに基づく。我々の研究例として、多結晶または単結晶シリコンを用いた回転型可変焦点メタレンズ・複眼可変焦点レンズ・長波長赤外偏光分離メタレンズなどの例を紹介する。
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2.
3種類の誘電体メタレンズ素子のシミュレーションによる比較と
超広角メタレンズ試作
(10:50〜11:10) |
株式会社ニコン
〇鳥羽 英光, 森 大祐, 小西 浩, 吉川 政樹, 木 英嗣, 大橋 道雄, 大滝 桂, 瀧川 雄一
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3つのタイプの誘電体メタレンズに対して、どのタイプが広角レンズに適しているかを知るため、素子自体の角度特性と広角ダブレットレンズのシミュレーションを行った。その結果、導波路型が適していることが分かった。そこで導波路型の超広角メタレンズを試作し評価を行った。
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─ 休憩 (11:10〜11:30) ─
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3.
アポディゼーション位相差ブライト高コントラスト顕微鏡法の
開発と特長
(11:30〜11:50) |
株式会社ニコン
大瀧 達朗 |
位相差顕微鏡法は無染色細胞を観察する有益な手段である。従前より細胞内小器官の微細構造観察に適したアポディゼーション位相差法を開発してきた。高屈折率の位相物体が暗い像で観察されるダークコントラスト法と明るく観察されるブライトコントラスト法があり、後者が検出感度や位相差適応範囲が広い。これらの違いと開発したアポディゼーション位相差ブライト高コントラスト(ABH)顕微鏡法と応用を紹介する。
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4.
低コヒーレンス光源を用いた透過型共通光路位相シフト干渉顕微鏡
(11:50〜12:10) |
東京工芸大学
○陳 軍,豊田 光紀
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光導波路や活きた生物細胞のような微小な位相物体の高精度定量計測のため、ウォラストン・プリズムの横移動を用いた共通光路位相シフト干渉顕微鏡を開発している。このシステムは外乱の影響を受けにくく、高安定・高精度の位相計測が可能である。しかし、光源にコヒーレンス長の長いレーザ光を用いているため、コヒーレントノイズの低減が課題となっている。そこで、広帯域光源を用いたシステムを開発したので報告する。
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─ 展示企業告知 (12:10〜12:20) ─
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─ 昼食 (12:20〜13:20) ─
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午後の部 (13:20〜17:40)
5.
透明ポリマーの屈折率制御、屈折率予測
【招待講演】
(13:20〜14:00) |
公立千歳科学技術大学
谷尾 宣久 |
光技術分野にポリマーが利用され、その機能が高度化してくると、様々な場面で屈折率を精密に制御する必要が生じてくる。例えば、レンズ材料としては、高屈折率で低分散なポリマーの開発が求められている。一方、ディスプレイ用反射防止膜には低屈折率なポリマーが必要である。ここでは、透明ポリマーの屈折率特性と分子構造との定量的関係について述べ、屈折率を制御するための構造制御法について解説する。さらに、屈折率をポリマーの化学構造のみから定量的に予測する屈折率予測システムについても紹介させていただく。
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6.
銀ナノキューブ単層集積膜のプラズモン共鳴動的制御による
プラズモニックカラー変調
(14:00〜14:20) |
静岡大学 1),日本学術振興会特別研究員DC 2)
○水野 文菜 1, 2),小野 篤史 1) |
本研究目的は,銀ナノキューブ単層集積膜に励起されるプラズモン共鳴の動的制御によるカラー変調の実証である.ナノキューブ集積膜のプラズモン共鳴は,キューブ間距離に依存する.本研究では,伸縮性基板上に結晶性銀ナノキューブ単層集積膜を作製し,基板伸縮によりキューブ間距離を連続的に制御した.0%から20%の基板伸長により基板透過光色がマゼンタからオレンジ,イエローへと動的に変化し,カラー変調を実証した.
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─ 休憩 (14:20〜14:40) ─
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7.
符号化を駆使したコンピュテーショナルレンズレスイメージング
【招待講演】
(14:40〜15:20) |
大阪大学
中村 友哉 |
コンピュテーショナルレンズレスイメージングは、レンズレス符号化計測と画像再構成処理の組み合わせに基づくイメージング技術であり、イメージング系の薄型化や設計自由度拡大を実現する技術として注目されている。本講演では、当該技術の基本原理や研究動向を説明するとともに、講演者のこれまでの研究、及び今後の展望について紹介する。
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8.
広視野光計算顕微シングルピクセルイメージングに関する研究
(15:20〜15:40) |
神戸大学
◯辰己 裕城、全 香玉、仁田 功一、的場 修 |
顕微鏡の観察範囲は倍率とイメージセンサの大きさによって決まる。倍率が小さいほどイメージング範囲は広がるが、分解能が劣化する問題が発生する。本研究では、顕微鏡の倍率を維持しつつ観察可能範囲を拡大する方法を新たに提案する。提案手法では、従来のフルフィールド顕微鏡とシングルピクセルイメージングを組み合わせることで実現する。空間光変調器に入力する照明光の位相分布の設計アルゴリズムと、その分布を用いた再構成シミュレーション結果を示す。
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9.
アミロイドβの非標識蛍光イメージング手法の開発
(15:40〜16:00) |
コニカミノルタ株式会社1), 東京農工大学2)
○小野 雄樹1),岡野誉之1),村上 智亮2) |
アミロイドが持っている特異的な自家蛍光パターンに着目した非標識蛍光イメージングを試みた。リスザル脳とフラミンゴ脳のアミロイドβから発せられる自家蛍光を,顕微鏡に接続したハイパースペクトルカメラで撮影し,撮影した画像を主成分分析(PCA)を用いて解析した。コンゴレッドおよび免疫組織化学によってアミロイド沈着と判定された領域とPCAの結果を画像比較したところ良い一致が見られた。
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─ 休憩 (16:00〜16:20) ─
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10.
Off-Axial光学系理論の回折光学系への拡張
(16:20〜16:40) |
宇都宮大学, チームオプト株式会社
荒木 敬介 |
自由曲面を使った光学系の設計においては、自由曲面に回折作用を付加した面を構成面に付加することが、設計自由度拡大のために採用され始めてきている。しかしこうした光学系に対しては、近軸量や収差係数を求める理論が確立されていないという問題があった。こうした回折複合光学系に対してOff-Axial理論の拡張を進めてきたが、このたびその拡張が色収差係数の理論部分まで含め一通り完了したのでその結果を報告する。
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11.
純虚数を使う鏡像結像光学系の近軸&収差解析
(16:40〜17:00) |
宇都宮大学, チームオプト株式会社
荒木 敬介 |
光学系での結像形態には、結像倍率が正の正立結像と結像倍率が負の倒立結像の他に、「正倒立」と「倒正立」の鏡像結像があるが、こうした鏡像結像には統一した単一の評価面での近軸評価、収差評価の手法は必ずしも確立していない。この講演では、こうした鏡像結像に対して、純虚数を用いた近軸理論、収差評価の理論が拡張理論として構築できることを示し、純虚数の結像倍率、純虚数の焦点距離を導入する意味・意義を問題提起したい。
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12.
ライトフィールド光学、光線再生の現在位置
【招待講演】
(17:00〜17:40) |
株式会社ニコン
岩根 透 |
ライトフィールド(LF)光学はこれまでの結像光学とは基本的な枠組みが異なる。像を光学系で別の空間に生成させるのではなく、像を形成するそれぞれの光線を空間内に再生させるのである。この方法は、コンピュータによる別空間像の合成および解析と多眼光学系によって可能となり、2000年代以降発展してきた。LFカメラとして空間光線情報をそのままデータとして取り込むことだけではなく、表示機として空間に光線を再生する3Dディスプレイ、光学的共役関係の拘束のないコンパクトな光学装置が提案されている。コロナ禍では非接触空間スイッチも期待される。こうしたLF光学の原理と現在のアプリケーションについて述べる。
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6月24日(金)
受付開始 9:00〜
午前の部 (9:30〜12:10)
13.
児童近視進行抑制用Defocus Incorporated Multiple Segments
(DIMS)眼鏡レンズ
【招待講演】
(9:30〜10:10) |
HOYA株式会社1), 香港理工大学2)
◯祁 華1), Carly Siu Yin Lam2), Dennis Yan-yin Tse2), Chi Ho To2) |
子供の近視進行は世界的に流行し、特にアジアで大問題となっている。現在主に行われている対処法として、Orthokeratology (オルソK),低濃度Atropine点眼,多焦点のコンタクトレンズと眼鏡レンズがあげられる。安全性が高く、取り扱いやすい眼鏡レンズは今まで効果が他と比較して低いとされてきた。この報告は全く新しい設計の眼鏡レンズで、海外の臨床試験によって高い近視進行抑制効果が確認されたDIMSレンズを紹介する。
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14.
移動群区切りによるズームレンズの設計
(10:10〜10:30) |
株式会社 矢部レンズ設計
矢部 輝 |
ズームレンズの設計では、各群のレンズ枚数をどのように配分するかは重要な問題である。筆者は非球面の最適配置について、移動非球面の機能をすでに公開しているが、同様の発想により移動群区切りという機能を定式化した。群区切りの面番号を実数化し、通常の最適化の独立変数に加えることにより、最適な群区切りの位置を自動的に求めることができる。この手法はエスケープ函数によるグローバル最適化で特に大きな効果を発揮する。
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15.
画角180度の立体視VR専用交換レンズ「RF5.2mm F2.8 L DUAL
FISHEYE」の開発
(10:30〜10:50) |
キヤノン株式会社
○横山 貴嘉, 森 健太朗, 上原 匠 |
廉価なヘッドマウントディスプレイの普及および画角180度の立体視VR映像規格の登場により,VR映像を楽しむ視聴環境が広まっている.その一方で,レンズ交換式カメラの汎用性を活かしつつ高品質のVR映像を取得する光学系は市場になかった.本講演では,キヤノンが2021年12月に上市したVR専用交換レンズの光学系の特徴と収差補正上の工夫,VR映像制作ワークフローを効率化する「EOS VR SYSTEM」の概要について報告する.
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─ 休憩 (10:50〜11:10) ─
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16.
Eye-sensingを用いた高実在感ディスプレイの開発
【招待講演】
(11:10〜11:50) |
ソニーグループ株式会社
中畑 祐治 |
近年のCG映像の制作技術の進化に加え、Volumetric Capturing技術の発展により、良質かつ多種多様な3D映像データが溢れてきている。この3Dデータを高い実在感で表示するディスプレイが求められており、我々はセンシング技術とディスプレイ技術を高度に融合することで実現しようと取り組んでいる。本講演では、我々が開発した“あたかもそこにある”を表現するディスプレイを紹介する。
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17.
光マイクロフォンの安定性向上と反射音波の可視化に関する研究
(11:50〜12:10) |
神戸大学1),京都工芸繊維大学2)
◯植村 弘也1), 全 香玉1), 粟辻 安浩2), 的場 修1) |
音の伝搬を可視化する手法にディジタルホログラフィーを用いた光マイクロフォンがある。本研究では、光マイクロフォンの実用化に向けて、定量的計測の安定性を損なうと考えられる要因について検証した。結果として、実験系の改良により安定性が向上した。また、可視化技術の適用範囲を広げるため、反射波の可視化を目指した。大小二種類の反射板で実験した結果、大きい反射板で比較的鮮明な反射波の可視化に成功した。
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─ 昼食 (12:10〜13:10) ─
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午後の部 (13:10〜17:20)
18.
レーザ加工マルチスケール表面微細構造の光散乱解析
(13:10〜13:30) |
東京大学
○後藤 隼, 畚野 剛瑠, 増井 周造, 門屋 祥太郎, 道畑 正岐, 高橋 哲 |
超短パルスレーザ加工などにより作製されるマイクロ構造やサブミクロン構造, およびそれらの組み合わせであるマルチスケール微細構造は, 物体表面の特性制御に広く活用されている. 本研究では, レーザ加工プロセス中での構造制御による高度な機能の実現や制御のために, 光学的なインプロセス形状評価技術の確立を目指している. その基礎的な検討として, 数値計算によるマルチスケール構造の光散乱特性の解析を行った.
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19.
レンズ設計への強化学習の適用
(13:30〜13:50) |
オリンパスメディカルシステムズ株式会社
○大平 倫裕, 朝長 裕樹, 河村 一輝 |
近年、強化学習を回路設計などの設計開発業務へ適用する事例が増えている。本講演では我々の取り組みとしてレンズ設計案の探索に強化学習を適用した結果を報告し、設計開発業務への適用可能性について述べる。
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20.
360度カメラにおけるImage Enhancement技術
【招待講演】
(13:50〜14:30) |
理光软研究所(北京)有限公司1), 株式会社リコー2)
张 宇鹏1),藤木 弘親2), ○小田巻 誠2) |
魚眼レンズを用いた360度カメラは大きな画角を持つ一方でその画質は高くない。本研究においてはDNNベースの手法により、360度画像と高画質画像をペアとして学習させることにより、360度画像を高解像度な画像へと変換する手法を提案する
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─ 休憩 (14:30〜14:50) ─
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21.
プラズモニック回折構造によるシリコンイメージセンサの 近赤外感度向上
(14:50〜15:10) |
静岡大学
○吉永 崇仁,橋本 和磨,寺西 信一,小野 篤史 |
本研究目的は,高感度近赤外Siイメージセンサの開発である.我々はプラズモニック回折格子によるSi吸収層における光閉じ込めを提案する.入射光が90°近い回折角度にて吸収層内を回折伝播することにより,実効的な伝播距離が増長し,Si吸収率が向上することを発見した.フォトダイオード上に銀回折格子を作製し,波長940 nm帯においてプラズモニック回折による約1.34倍の近赤外感度向上を実証した.
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22.
中赤外パッシブ分光イメージングによる非侵襲血糖値センサー
(15:10〜15:30) |
香川大学
○石丸 伊知郎, 北崎 友哉, 森本 裕介, 山下 創央, 田原 詩織, 穴吹 大地, 和田 健司, 西山 成 |
中赤外パッシブ分光イメージングによる、非侵襲血糖値センサー実現への新たな取組である。我々独自の結像型2次元フーリエ分光法に基づき、非冷却マイクロボロメーターアレイセンサーを用いた手のひらサイズの中赤外パッシブ分光イメージング装置を構築した。本装置により、腕などの体温から放出される放射光そのものを分光する事により、グルコース起因の発光ピーク(@9.25?m、9.65?m)の検出に成功し、2次元で発光強度の画像化を行った。
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23.
赤外カメラ技術を応用したガス監視システムの開発
(15:30〜15:50) |
コニカミノルタ株式会社
野口 一能、○浅野 基広、○森本 隆史 |
近年,プラントの経年劣化損傷による爆発・火災事故や破壊事故の発生が懸念されている。また,ベテラン作業員の引退により,プラント保安力の低下が課題となっている。この社会課題の解決を目指して,我々は,赤外カメラ技術を用いて可燃性ガス漏洩を監視するシステムを開発した。本講演ではガス可視化原理,及びガス可視化画像処理手法について報告する。
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─ 休憩 (15:50〜16:10) ─
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24.
高精度内径形状計測における回転基準位置安定制御手法
(16:10〜16:30) |
東京大学
○藤村 蒼輝,門屋 祥太郎,道畑 正岐,高橋 哲 |
本研究は,構造の内部形状の測定手法に関する研究に取り組んでいる.内部形状を測定するため反射素子を回転・走査する.反射素子表面上に基準位置をとるが,回転・並進の幾何学的な運動誤差により基準位置に偏差が生じ,これが計測精度に影響を及ぼす.その幾何学的な誤差を校正するため,本研究では回折格子を用いた基準位置の安定化手法を提案する.
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25.
地球観測衛星を支える光学センサ技術とその成果
【招待講演】
(16:30〜17:10) |
日本電気株式会社(NEC)
内方 達也 |
NECは、日本初の衛星搭載用光学観測センサを開発して以来、数多くの衛星搭載用光学センサの開発実績がある。本講演では、これら地球観測センサを支えた光学センサ技術として、検出器開発、光学設計における迷光低減と補正、偏向観測などについて紹介する。また、地球環境の監視、気候変動の予測精度向上、農業、養殖業などに地球観測センサが貢献した成果についても紹介する。
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閉会の辞 (17:10〜17:20) |
実行委員長 野口 一能〔コニカミノルタ株式会社〕
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