(公社)応用物理学会分科会 日本光学会主催
光学シンポジウム
Optical Symposium
「光学システム・光学素子の設計,製作,評価を中心として」
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36th Symposium Announcement in English


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第36回 光学シンポジウム
一般講演の概要

7月7日(木)

直接接合法による光発振と光子センシングためのSilicon/InGaAsPヘテロ構造

○李 凌瀚,多喜川 良,肥後 昭男,日暮 栄治,杉山 正和,中野 義昭
東京大学

The silicon/InGaAsP hetero-structure was realized by Ar/O2 plasma assisted direct bonding. High current injection density through the hetero-structure has been achieved. The silicon/InGaAsP hetero-structure was applied to realize a direct-current-injection silicon/InGaAsP Fabry-Perot Laser with 55mA threshold current at 120C and a vertical PIN waveguide photodiode showing 50% quantum efficiency at 1550nm.

深い被写界深度とパターン投影機能をもつ複眼内視鏡の開発

○香川 景一郎1,徳田 佳晃2,小倉 裕介2,山田 憲嗣2,谷田 純2
1静岡大学,2大阪大学

 複眼カメラTOMBO(thin observation module by bound optics)の内視鏡応用を進めている.球面収差を用いた被写界深度拡張技術を適用した単玉モールドレンズをアレイ化し,回折格子を用いたアクティブ形状計測用小型パターン投影系を内蔵することで,小型と機能性を両立する.画像回復処理を含めたTOMBOによる拡張被写界深度と形状計測の実証と,パターン投影の基礎検討について述べる.

シリコンフォトダイオードの室温発光とそれを用いた光通信

○川上 陽平,小西 亮平,岡本 研正
香川大学大学院

 シリコン(Si)は間接遷移型のバンド構造を持つため,発光素子としての利用は不可能と考えられてきた.近年Siベースの発光材料の研究が行われているが,ナノ構造の必要性や極低温での発光などの問題で,実用化は進展していない.本研究では,Siフォトダイオード(Si-PD)が室温において発光することに着目し,Si-PDの発光特性を測定するとともに,Si-PDを発光ダイオードとして使用した光通信を行った.

6. シリコンツェナーダイオードの明瞭な発光とそれを用いた光通信

○小西 亮平,川上 陽平,岡本 研正
香川大学大学院

 本研究室の岡本研正教授は,1989年頃Siフォトダイオードの順方向に電流を流すと,微弱ではあるが赤外光が放射されることを発見するとともに,Siフォトダイオードを発光素子兼受光素子とした双方向光通信実験を試みた.また,2010年にはSiツェナーダイオードについて赤外カメラを使って発光の有無を調べたところ, 順方向電流を流したときに明瞭な近赤外光を放射することを発見した.そこで,本研究では,ツェナーダイオードの発光特性を詳しく調べるとと もに,Siツェナーダイオードを発光素子,Si PINフォトダイオードを受光素子として用いた光通信を行った.

Si発光ダイオードとSiフォトダイオードを積層した多機能シリコン光デバイス

岡本 研正
香川大学

 トランジスタは,1948年に米国Bell研究所において発明され,飛躍的な進歩を遂げるとともに後年集積回路へと発展し今日の情報化社会をもたらした.ところでトランジスタの動作原理は,その発明以来60余年の長きにわたって「電子と正孔とのふるまい」でもって説明されている.筆者の岡本は,トランジスタはその内部の「光作用」により動作しているのではないか,という仮説を昨年考えついた.この仮説は従来の理論を覆すものである.本講演ではこの新仮説について発表する.

すばる望遠鏡および次世代巨大望遠鏡用の新しい回折格子

○海老塚 昇,石川 健治,近藤 博基,堀 勝,Andrea Bianco,Filippo Maria Zerbi
名古屋大学

 VPH (volume phase holographic) gratingは1次回折光において,sまたはp偏光に対して最高100%の高い効率を達成する.しかし,VPH gratingは次数が高くなるのに従って回折効率が低下する.高次回折光を利用するEchelle分光器用のVolume phase gratingやQuasi-Bragg grating,新しい格子形状のImmersion gratingが考案されている.我々はプラズマナノ工学を応用して,これらの新しい回折格子の実用化を計画している.

多波長可変光源を用いた分光計測

○坂田 泰啓,齋藤 朋也,石川 徹朗,武藤 幸子,鈴木 康史,勝沼 淳
(株)ニコン

 従来の分光技術と反射型液晶素子を組み合わせ,任意のスペクトルを再現できる光源装置を開発した.本稿では,この装置を用いて光源のスペクトルを変化させて物体の分光反射分布を獲得する方法について報告する.

球形誘電体粒子による多重散乱の解析解と物理的解釈

森 太省
キヤノン(株)

 ナノコンポジット等の粒子分散型光学素子を用いた光学系では,粒子の散乱による像性能劣化が問題視されている.この散乱量を見積もるため,球形誘電体粒子による多重散乱の解析解を導出し,粒子径および粒子濃度依存性を数学的に記述した.また,解析解を用いた計算結果をFDTD法やT-matrix法による数値的解法と比較する事により,解析解の正当性と優位性を示した.

7月8日(金)

非球面光学系の設計

一色 真幸
一色オプティクス

 非球面光学系の設計は,球面系の設計にとは異なった特徴を持っている.最適化においてはこの特性を十分配慮する必要があるが,これらの問題を調査して適切な最適化技法を提案する.実例として,携帯電話用撮影レンズをとりあげ,平行平面板より出発して最終的な設計を導く例などを示す.

絞り内蔵型非共軸反射光学系のOff-Axial収差論を用いた解析

○若園 毅1,谷田貝 豊彦1,荒木 敬介1,2
1宇都宮大学,2キヤノン(株)

 Off-Axial収差論は,折れ曲がった基準軸に沿って偏向面が配置される非共軸光学系にも適用できる共軸回転対称光学系収差論の拡張概念である.しかし従来の体系では入射瞳には湾曲以外の収差がない前提で議論されるため,絞り内蔵型光学系では収差係数の値が不正確になる問題があった.そこで今回,絞り内蔵型光学系でも正確に収差係数が計算できるOff-Axial収差論の改良方法について,設計事例とともに報告する.

スーパー・ビームエクスパンダー

成相 恭二1,○清原 元輔2,谷本 亜紀2,清原 通雄3,清原 耕輔4
1国立天文台,2清原光学,3コプティック,4光産業創成大学院大学

 ビームエクスパンダーの要素として平行ビームを球面波ビームに変えるPSコンバーターと球面波ビームを平行ビームに変えるSPコンバーターとし,2つの球面波ビームを一致させることにより,高次収差迄補正されたビームエクスパンダーが得られる.コンバーターの長さと球面波の曲率半径との比を選ぶことによりコマ収差の補正も可能になる.7次球面収差まで補正すると,おおむね全長は射出ビーム径の約2倍程度まで短く出来る.

複眼反射光学系による小型・長被写界深度ラインセンサの光学設計

○河野 裕之,岡本 達樹,松澤 卓,牧田 淳子,藤山 直之,國枝 達也,美濃部 正
三菱電機(株)

 一次元の視野領域を複数に分割し,それぞれの領域を単位光学系(セル)により撮像し,隣接セル間で重複する視野の画像が一致するように画像結合処理を行うラインセ ンサを開発中である.物体側にテレセントリックな光学系とし,隣接セル間の視野の 重複量が変化しないようにすることで,長被写界深度を実現する.画像処理と合わせて7mmの長被写界深度を実現した結果とその光学設計について議論する.

多重零点光ビームを用いる遠隔6軸変形計測の戸外実験

○斉 宇嵐,栗原 徹,安藤 繁
東京大学

In previous paper, we described a principle of free-space optical measurement system for monitoring full-axis deformation of large and long structures. In this paper,several key issues for realizing a long-range compact optical setup are discussed and implemented in the compact system. By using this, open air verification experiments are on going. Several preriminary results will be reported.

有機EL素子薄膜構造の膜厚と光学物性値の同時最適化による射出光設計

○中嶋 章1,滝沢 旬平2,和田 浩平1,中村 正行1
1信州大学,2信州大学院

 有機EL素子からの射出光は素子内の干渉効果の影響を受ける.そこで,組合せ最適化手法として遺伝的アルゴリズムを用いて,使用可能な中から薄膜材料を選択するとともに膜厚を決定することで,目標発光色に対応する射出スペクトルに射出光を近づける設計法を提案する.植物栽培用光源を例として射出光スペクトルに関する薄膜構造最適化を行った結果,膜厚と物性値の同時最適化により効率的に設計解が得られることがわかった.

部分コヒーレント結像における行列理論を用いたコヒーレンス度の定量化

山添 賢治
キヤノン(株)

 ケーラー照明による部分コヒーレント結像の像計算式を離散化すれば,行列形式で像を記述できる.行列表記により高速像計算が実現でき,さらに,像計算に用いた行列をもとに別の行列を定義すると,その行列のHilbert-Schmidt距離が相互強度と一致していることがわかった.本発表では,行列表記による像計算の高速化という実用的な応用のみならず,コヒーレンス度の定量化といった理論的な展開も報告する.

ナノインプリント法による蛍光顕微鏡用評価スケールの作製

池滝 慶記
(独)科学技術振興機構,オリンパス(株)

 近年,蛍光顕微鏡は結像性能が向上し,空間分解能を高精度で定量的に評価する作業が要求される.その際,既知の空間形状を有する較正用のスケールが不可欠となる.本研究では,カバーガラス上に蛍光色素を分散したUV硬化樹脂を直接スピンコートし,インプリント法により微細凹凸構造パターンを形成したスケールを作製した.講演では,本スケールの詳細な作製過程と評価を述べるとともに,高解像度化に対する取り組みも紹介する.

ベクトルビームレーザーSHG顕微鏡を用いたPDLCの観察

○田辺 綾乃1,齋藤 友香1,栗原 誠1, 橋本 信幸1,小澤 祐市2,4,佐藤 俊一2,4,日比 輝正3,4,根本 知己3,4
1シチズンホールディングス(株),2東北大学,3北海道大学,4JST CREST

 分割配向技術を用いた液晶アクティブ波長板によるラジアル偏光発生素子を試作し,レーザー共焦点顕微鏡に適用した.このとき焦点位置において強いZ偏光を発生させることが可能となる.本装置を用いて高分子分散型液晶(PDLC)を観測した結果,分子配向界面における回転対称性のくずれからSHGが観測され,その強度分布から配向状態を可視化できた.

半球スクリーン投影光学系

研野 孝吉
オリンパス(株)

 魚眼レンズを用いて半球スクリーンに映像を投影するフロントプロジェクション光学系は今までにあったが,観察位置の制限や像歪の電子補正が必要であった.今回,水平画角180°垂直画角100°の半球スクリーンに映像を歪無く投影出来る反射光学系を試作したので,これについて報告する.
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