第43回 光学シンポジウム
招待講演の概要

自動運転・ADASの光学技術と市場動向

講演者
駒田 隆彦 (株式会社テクノ・システム・リサーチ)
講演概要
予防安全(ADAS)や自動運転(AD)の実用化に向けてカメラやLidarなどの光学技術の開発と採用が進んでいる。本講演では、ADASやADの市場展望とカメラ、Lidarなどのセンシング技術の動向及び、これらの技術のキーとなる光学技術の動向について、ご説明させていたきます。

食べられる光学素子が拓く食の映像演出手法

講演者
奥 寛雅 (群馬大学)
講演概要
近年プロジェクションマッピングが注目を集めており,料理の演出への取り組みも行われ始めている.しかし,料理は位置・形状を正確に制御することが難しく,幾何学的な整合性を有する形でのプロジェクションマッピングは難しかった.本講演ではこの問題の解決を助けるものとして開発された食べられる再帰性反射材の原理とその料理演出への応用例について,研究背景も含めて紹介する.

見て触って感じられるマルチモーダル空中ディスプレイ

講演者
山本 裕紹 (宇都宮大学)
講演概要
映画『スターウォーズ』や『アイアンマン』において,空中に浮かぶ映像や空中映像を手で操作する様子が描かれているように,情報を3次元空間内で直感的に操作する技術が期待されている.このような未来の技術のプロトタイプについて実現例を紹介する.可視光だけでなく赤外線による輻射熱の収束が可能な反射型光学素子(CMA)を用いた空中ヒーター技術,再帰反射による空中結像(AIRR)とその複合システム,さらに今後の展望について述べる.

死人の脈を診る「魔法の鏡」 ―ビデオカメラによる遠隔・非接触生体情報抽出技術―

講演者
吉澤 誠 (東北大学 サイバーサイエンスセンター 先端情報技術研究部)
講演概要
血液が緑色光をよく吸収するという性質を利用すると,スマートフォンなどに内蔵されているごく普通のビデオカメラで撮影した顔や掌の映像から脈波信号を抽出でき,心拍数はもちろん血行状態や血圧変動のような生体情報を遠隔・非接触的に得ることができる.本講演では,この技術を使った「魔法の鏡」プロジェクトを紹介するとともに,風呂やトイレでの血圧サージ検出や自動車運転者の体調管理などの幅広い応用について議論する.果たして,「死人の脈を診る」とはどういうことか?

単一画素計測と信号処理による画像計測

講演者
仁田 功一 (神戸大学大学院システム情報学研究科)
講演概要
シングルピクセルカメラやゴーストイメージングといった、イメージセンサーを必要とせず、単一の光検出器による計測と信号処理により画像計測を行う方法が注目されている。それぞれの手法について、その計測及び信号処理に関係する原理を概説する。また、単一画素計測によってもたらさせる利点を示す。これまでに報告されている研究事例と課題を紹介する。また、講演者が取り組んでいる計測の高速化に対する取り組みを紹介する。

赤外線カラー暗視撮影技術の研究開発

講演者
永宗 靖 (国立研究開発法人産業技術総合研究所、株式会社ナノルクス)
講演概要
暗視撮影を必要とする分野では,赤外線暗視カメラが使用されてきたが,従来技術ではモノクロの映像しか撮影出来なかった.一方,赤外線撮影において,肉眼に近いカラー映像が撮影出来れば,これまでとは質的に異なる情報が得られ,前述の分野などで新しい展開が期待される.本講演では,これまでに開発してきた赤外線のみでカラー映像の撮影を実現する赤外線カラー暗視撮影技術の研究開発について紹介する.

目は驚くほどの超並列情報処理プロセッサー 〜網膜視覚情報処理の特性〜

講演者
小泉 周 (自然科学研究機構 研究力強化推進本部)
講演概要
眼の中の網膜は、単に視覚情報を感知し、高次脳中枢に視覚情報を送っているだけと考えられがちであるが、実際には、超並列視覚情報処理を行っている精密なプロセッサーである。色の処理や明るさの検出だけでなく、境界の検出・動きの検出などの視覚情報処理、体内時計の調節などを並列に行っている。この講演では、どのような視覚情報処理が網膜でなされ、また、なされていないのかについて、具体例やその網膜神経回路基盤を含め、紹介する。

2次元複屈折プロファイラの開発 -リターデーション分布のリアルタイム定量イメージング-

講演者
福田 隆史 (産業技術総合研究所)
講演概要
複屈折の定量的評価は光機能性部材、および、素子において極めて重要なアスペクトであるが、それ以外にも、例えば、樹脂フィルムや射出成形容器の品質管理、あるいは、部材内部の組成や応力分布の可視化などの工業的なニーズに対しても極めて強力なツールとなりうる。そこで、我々は、偏光分離回折素子を用いた新たな手法を考案し、高速・高解像、かつ、ワンショットの撮影(試料の不要)で複屈折の2次元分布を定量評価できるイメージング技術を提案している。



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