第49回 光学シンポジウム 招待講演の概要
メタマテリアルを用いた光学迷彩技術
- 講演者
- 雨宮 智宏 (東京工業大学 工学院電気電子系)
- 講演概要
- 本発表では,前述のメタマテリアルフィルムを用いて光学迷彩を実現する手法について,近中赤外における評価と共に紹介する。具体的には,予めフィルム内に特定の誘電率・透磁率分布を持つようにメタマテリアルを内包させておき,それを対象に巻き付けることで光学迷彩を実現する。これにより,従来問題となっていた複雑な3次元構造の作製技術を省略することができる上,対象波長に比べて非常に大きいサイズの領域を迷彩化できるようになる。
抗原抗体反応の光誘導加速システムによる 次世代医工計測への展開
- 講演者
- 飯田 琢也 (大阪公立大学 大学院理学研究科/LAC-SYS研究所)
- 講演概要
- 光圧と流体効果の相乗作用を駆使し、生体試料を誘導・濃縮して多様な生化学反応を加速して医工計測のハイスループット化につながる新機構解明を目指した基礎・応用研究を一気通貫で推進している。特に、本講演では迅速・高感度なバイオ分析を可能とする「光誘導加速システム(LAC-SYS)」の抗原抗体反応への適用による疾患マーカーの高感度・迅速計測の手法開発に関する最新の成果を紹介し、次世代ヘルスケアに向けた取組について議論する。
HMD向け高効率パンケーキレンズ 「ダブルパス方式」の紹介と光学設計
- 講演者
- 臼倉 奈留 (シャープ株式会社パネルセミコン研究所)
- 講演概要
- HMD(Head Mounted Display)では小型軽量化が求められており、俗にパンケーキレンズと呼ばれる薄型の折返し光学系がこの1〜2年で急速に普及した。しかし、パンケーキレンズは原理的に光利用効率が約25%と低く、消費電力が大きくなる課題がある。この課題に対して我々が考案した「ダブルパス方式」の基本原理を説明するとともに、その光学設計および試作品について紹介する。
空中ディスプレィの社会実装と課題、及び今後の展望
- 講演者
- 大坪 誠 (株式会社アスカネット空中ディスプレィ事業部)
- 講演概要
- corona禍を経て、当該技術は非接触用途で社会実装が進んでいる。本講演では簡単な原理と応用システムの紹介、社会実装の現状と課題について述べる。最後に今後の展望として、特に「空中displayシステムの薄型化」について述べたい。
非接触、無調整で使用できる両眼視デバイスの開発
- 講演者
- 川崎 智裕 (株式会社ニコン)
- 講演概要
- 非接触かつ個別調整不要のシームレスな両眼視デバイスを提案する。
最大の特徴は、ユーザーが映像を見る位置とデバイスの間の距離であるアイレリーフが大きいことである。
また、アイボックスを大きくし、眼幅調整が不要となった結果、即座に3D空間を体験できる利便性を実現した。
講演では、再帰反射材とハーフミラーを使用した瞳伝送ユニットと、視聴範囲を広げる瞳作成ユニットの構造
について詳述し、技術の活用と将来性について議論を深める。
超高精度三次元測定機(UA3P)高精度化の取り組みと最新のソリューションの紹介
- 講演者
- 上村 健太郎 (パナソニックプロダクションエンジニアリング株式会社)
- 講演概要
- レンズやミラー、光学金型などの形状をナノメートルオーダーで測定することができる超高精度三次元測定機「UA3P」について紹介する。特に最近は、レンズやミラーの形状のみならず、測定面の10nm以下のうねり成分を抽出して評価したり、非球面レンズの面間だけでなく、自由曲面などの多面間の位置ずれを含めた様々な評価を実現したいという要望がある。それらの解析手法に対する最新のソリューションについてもあわせて紹介する。
レンズの収差・回折によるぼけを補正する Deep Learning画像処理技術 -Neural network Lens Optimizer-
- 講演者
- 日浅 法人 (キヤノン株式会社)
- 講演概要
- Deep Learning技術を用いたRAW画像の高画質化ツール「Neural network Image Processing Tool」に含まれる、レンズの収差・回折によるぼけの補正機能「Neural network Lens Optimizer」について紹介する。本機能は、従来の補正機能や先行の研究に対して、ぼけ補正の効果向上、白飛び周辺のぼけ補正、ノイズの変動抑制などの優位性がある。これらの優位性を実現した手段に関して、詳細に説明する。
機能集積型光導波路照明素子による散乱・揺らぎ背後イメージング
- 講演者
- 渡邉 恵理子 (電気通信大学)
- 講演概要
- 我々は,平面導波路型デジタルホログラフィク顕微鏡を拡張し,ビームスプリッター,対物レンズ,ピエゾデバイスなどの空間系光学素子を必要しない共通光路ホログラフィック顕微鏡用機能集積型光導波路照明素子(Functionally integrated waveguide illuminator: FIWI)を設計・製作した.隣接する点光源から出射された物体光と参照光は準共通経路を伝搬するため,位相乱れが打ち消される.FIWIを用いて複異種複合媒質に隠されたテストチャートとグリッドパターンのイメージング実験を行った結果,鮮明な再構成像を取得した.
|