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開会の辞 (9:30~9:40)
一般社団法人 日本光学会 会長 大谷 幸利(宇都宮大学)
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フルカラー高解像度積層計算機合成体積ホログラムの製作手法
【招待講演】
9:40~10:20
関西大学
西 寛仁
コンピュータホログラフィの技術発展は著しく,社会実装可能な実用的なホログラムが作製可能となった.特に,波長選択制を有する高解像度な計算機合成体積ホログラム(CGVH)の作製技術が発展し,RGBの各ホログラムを積層する積層CGVH方式にて高品質なフルカラー3D像が再生できるようになった.本発表では,CGVHの作製法であるコンタクトコピーと波面プリンタを説明し,実際に作製したフルカラーの高解像度積層CGVHを紹介する.
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深層学習に基づくシングルピクセル望遠鏡による可視域・近赤外同時イメージング
10:20~10:40
電気通信大学1),国立天文台2), 宇都宮大学3)
〇児玉 晋二朗1), 佐藤 千寛1), 山越 和紀1), 早野 裕2), 武田 光夫3), 渡邉 恵理子1)
天体観測や遠隔監視の場面において,高精度なイメージングは不可欠である.これらの状況下では大気の状態によって有効な波長帯域は異なるため複数の波長帯域で同時にイメージングが可能なシステムが求められている.本研究では,可視域と近赤外を同時に撮影可能なシングルピクセル望遠鏡を提案し構築する.また,再構成過程に深層学習を組み合わせることで,高精度なイメージングが出来ることを実験により示す.
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─ 休憩 (10:40~11:00) ─
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組レンズの偏芯測定アルゴリズムの検証
11:00~11:20
京セラSOC株式会社
〇村上 智紀, 田邉 貴大, 山中 健史
近年の高精度レンズの製造において、偏芯測定器の利用が一般的だが、測定原理、アルゴリズムについては十分には検証されていない。本発表では、近軸光線追跡を用いて偏芯測定アルゴリズムを確立し、それに基づいてプログラムを作成した。アルゴリズム検証のため、プログラムの出力結果がZemaxによる実光線追跡、汎用偏芯測定器の結果と一致することを確認した。この結果により、測定原理の理解の下で偏芯測定器の利用が可能となった。
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Off-Axial収差理論の主光線まわりの展開への適用(III)
11:20~11:40
宇都宮大学,チームオプト株式会社
荒木 敬介
これまで折れ曲がった主光線まわりの収差評価をOff-Axial理論を使って議論し、物体面や瞳面の傾きは、物体収差や瞳収差に初期収差を与えることで、体系の中で一般化できることを示してきた。こうした初期収差付与の考え方は、開口絞りが光学系の内部にある「中絞り光学系」でも重要な意味合いを持つ。このたび、一般のOff-Axial系の中絞り系について初期の瞳収差の計算方法が確立できたのでその結果を報告する。
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オプトルのメタレンズの取り組み
【招待講演】
11:40~12:20
株式会社オプトル
藤村 庚浩
株式会社オプトルは2024年7月にリコーグループから事業承継しました。私たちは長年にわたりマイクロレンズアレイやフォトニック結晶といった微細加工デバイスの開発・量産を行ってきました。この技術ノウハウを生かし、現在はメタサーフェスの開発・量産化に取り組んでいます。今回は、メタDOEやメタレンズを用いた照明、カメラモジュールなど、実際のモジュールに適用した結果をいくつかご紹介させて頂きます。
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─ 展示企業告知 (12:20~12:30) ─
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─ 昼休憩 (12:30~13:30) ─
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高度液晶光配向技術を用いた幾何学位相回折素子創成とイメージング応用
【招待講演】
13:30~14:10
長岡技術科学大学
小野 浩司
幾何学位相を空間変調し、それらを通過する光の偏光状態を局所的に変化させることによって動作するいわゆる幾何学位相光回折素子は、薄型で100%の回折効率が実現できることから、多様な光学システムを“偏光化”させることにより革新させることが期待される。本講演では、我々が開発した実用的な液晶光配向技術を用いた幾何学位相光回折素子形成と、それを用いた空中映像および偏光イメージングシステムについて紹介する。
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液晶偏光回折格子を用いた近赤外偏光走査型偏光撮像による癌組織の可視化に関する検討
14:10~14:30
長岡技術科学大学1), 北里大学2), 株式会社オプトゲート3), 兵庫県立大学4), CREST, JST5)
〇坂本 盛嗣1,5), 鈴木 雅人1,5), 清水 智哉1), 西沢 望2,5), 野田 浩平1,5), 佐々木 友之1,5), 田中 雅之3,5), 川月 喜弘4,5), 小野浩司1,5)
癌組織に円偏光照射を行うと、正常組織と比べて細胞粒径が異なることから、光散乱に伴う円偏光解消度に差異が生じることが知られており、この現象を利用して癌組織の可視化する研究が幾つか報告されている。本技術の応用を目指すにあたり、癌組織を画像として可視化する偏光撮像の適用が望まれる。今回我々は、偏光回折格子を用いた近赤外偏光探査型偏光撮像装置を用いて、撮像による癌細胞可視化について検証した結果を報告する。
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Experimental Validation of Light-Field Volumetric Optical Tweezers with Polarization-Controlled Anisotropic Particle Rotation
14:30~14:50
Keio University
〇Derneden Thomas, Beaucamp Anthony
This research investigates the feasibility of integrating light-field optical tweezers with polarization-controlled particle orientation for 3D micro-manipulation. Using a DMD and MLA, we create volumetric optical traps combined with a polarization mask to induce controlled rotation of anisotropic particles. Initial experiments aim to demonstrate stable trapping and polarization-driven rotation, validating the system’s potential for further advanced microscale assembly.
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─ 休憩 (14:50~15:10) ─
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単純2枚ミラーEUV反射光学系の各種収差補正問題とEUV露光装置の国産化計画
【招待講演】
15:10~15:50
沖縄科学技術大学院大学
新竹 積
EUV露光装置は高額な初期費用と高い消費電力のため未だに広く半導体製造ラインに導入されたとは言えない。この問題の解決のため昨年4月に2枚ミラー構成の単純構成のプロジェクターが消費電力を大幅に削減できる事を示した。本公演では収差補正の実際と、これを用いた国産EUV露光装置開発の現状について述べる。
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広帯域光源を用いる高精度位相計測干渉顕微鏡に関する研究
15:50~16:10
東京工芸大学
〇陳 軍, 大渕 龍一郎, 豊田 光紀
光導波路や生物細胞などの微小な位相物体の高精度計測がフォトニクスやバイオニクスの分野で強く求められている。そのため、我々はプリズムの横移動を用いた高安定・高精度の共通光路位相シフト干渉顕微鏡を開発し、サブナノメートルの計測精度を実現した。今回は、光源のコヒーレントノイズの低減のため、広帯域の水銀ランプを用いるシステムを構築し、有効性を確かめたので報告する。
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─ 休憩 (16:10~16:30) ─
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非対称自由曲面を組み込んだ巨大マゼラン望遠鏡試験用カメラのスポット性能の評価
16:30~16:50
ANAX Optics 株式会社1), 慶應義塾大学2)
○佐々木 敦司1), ブカン アントニー2)
巨大マゼラン望遠鏡の観測試験用カメラ(COMCAM)には偏光解析のために波長板とWollaston複屈折プリズムが組み込まれる予定である。これにより光線は2つの光路に分岐する上、光学システムは光軸に対して非対称となる。システムを構成する一部のレンズ面に非対称自由曲面を適用することで1.8 arcminの視野角と500から900 nmの波長域下での観測面のスポットサイズの向上を試みた。
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消しゴムサイズの中赤外パッシブ分光イメージング装置による非整備環境への適用展開
16:50~17:10
香川大学
〇矢野 響,穴吹 大地,小橋 琉夏,向原 優斗,石丸 伊知郎
中赤外パッシブ分光法は,物体より発せれる放射光を分光する分光サーモグラフィである.これにより,非整備環境下でのその場分析が可能となる.しかしながら,現有装置の位相シフタは,超音波モータを使用している.そのため,大型かつ高価格であるため非整備環境への適用が困難である.そこで,ボイスコイルモータとバネ反力を組み合わせた位相シフタを考案し,消しゴムサイズの中赤外パッシブ分光イメージング装置を構築した.
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第50回光学シンポジウム記念講演
【記念講演】
17:10~17:40
東京大学生産技術研究所
志村 努
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─ 意見交換会 (18:00~19:45) ─
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フォトレオロジー流体を用いたマイクロ流体流れに対する光照射強度の影響評価
9:30~9:50
慶応義塾大学
〇竹田 俊介,ブカン アントニー
本研究では、フォトレオロジー流体(PRF)を用いた流路流れ制御の可能性を探究した。特定波長の光照射により粘度が変化するPRFの特性を利用し、光照射方法の変化に応じて微小流路内の流れがどのように変化するか検討した。粘度測定と流体解析を通じて、光制御による流路形成の可能性を示し、マイクロ流体デバイスへの応用の展望を議論した。
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定量位相技術を用いた画像変換応用
9:50~10:10
株式会社ニコン1), 筑波大学2)
〇池田 諭史1), 土田 翔大1), 福武 直樹1,2)
定量位相顕微鏡の手法の1つに強度輸送方程式を用いた位相復元があり、複数の明視野デフォーカス画像から物体の2次元位相分布を求めることが出来る。これに物体の振幅透過率の変化が小さい場合に成り立つ弱回折近似を適用する事で、従来位相差観察や微分干渉観察に必須となっていたHWモジュールを使わずに計算のみで同画像を構築可能となった。本講演では実際の作例を紹介するとともに今後の展望についても触れる。
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光学顕微鏡の解像限界および結像特性を決定する要素
10:10~10:30
株式会社ニコン, 筑波大学
福武 直樹
近年の光学顕微鏡には、利用するコヒーレント/インコヒーレント相互作用の違いや、一括照明やレーザー走査型などの光学系タイプの違いもあり、様々な手法が存在する。各イメージング手法は異なる解像限界および結像特性を示すが、いくつかの要素だけでそれらは決定される。本講演では、著者の構築した統一的枠組みを用いて、解像限界と結像特性を決定づける要素について説明し、個別手法間の特徴を比較する。
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─ 休憩 (10:30~10:50) ─
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偏光カラーイメージングへの応用に向けた2方向プラズモニックフィルタアレイの開発
10:50~11:10
静岡大学大学院1), 静岡大学電子工学研究所1,2)
〇今岡 巧1), 深谷 祐輔1), 宮道 篤孝1), 香川 景一郎1,2), 小野 篤史1,2)
本研究目的は色情報および偏光情報を同時取得するカメラの開発である.本研究では表面プラズモン共鳴に基づく金属1次元周期凹凸薄膜のプラズモニックフィルタを提案し,マルチカラーな透過特性および偏波弁別性を実証した.偏光情報はブリュースター角を利用したイメージングや物体の形状認識に用いられ,2方向フィルタアレイの作製により,LiDARにおけるランダム偏光の外乱抑制への応用が期待される.
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光メタサーフェス:メタレンズから分子センサーまで
【招待講演】
11:10~11:50
国立研究開発法人理化学研究所 光量子工学研究センター
田中 拓男
「メタサーフェス」として知られる二次元版のメタマテリアルは,その加工の容易さから近年活発に研究が進められている.本講演では,メタサーフェス技術を利用した2種類のデバイスを紹介する.1つはメタサーフェスで構成された平坦かつ極薄のレンズ「メタレンズ」であり,特に焦点距離可変メタレンズを中心に最新の進展を取り上げる.もう1つは,メタサーフェス光吸収体を用いた高感度分子センサーで,固体・液体・気体サンプルそれぞれについての事例を紹介する.
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AI Optics優秀発表賞授賞式(11:50~12:05)
日本光学会 AI Optics研究グループ
代表幹事 鈴木 裕之(群馬大学)
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─ 昼休憩 (12:05~13:05) ─
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カラーレーザビームプリンタ「Satera LBP812Ci」における光学技術の進化
13:05~13:25
キヤノン株式会社
〇西條 蒼野,佐藤 涼太,千田 寿文,宮島 悠,寺村 昌泰
本講演では,キヤノンのカラーレーザビームプリンタの光学設計技術とその進化について紹介する.プリンタの小型化と高画質の両立を実現するために採用した,キヤノン独自のレーザ走査光学設計の特徴とその収差補正技術,さらにプリンタとして新規に導入した段差を有する多段トーリックレンズなど,最新の革新ポイントについて説明する.
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射出圧縮成形技術の光学レンズ適用
【招待講演】
13:25~14:05
コニカミノルタ株式会社
森 基
高偏肉形状および低歪が求められるプラスチックレンズ(VR (Virtual Reality) ゴーグル、車載カメラ、遠赤外線カメラ等の用途)の性能を実現する手段として、射出圧縮成形法を開発しました。本講演では、この技術の製品適用および効果(低歪・高偏肉形状の実現)を中心に紹介します。従来困難だった低複屈折、薄肉・偏肉のレンズの製造を可能とするこの技術を幅広い製品に応用し、今後も社会の「みたい」の実現に貢献してまいります。
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─ 休憩 (14:05~14:25) ─
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質感をとらえるボリュメトリック映像制作システム
【招待講演】
14:25~15:05
日本放送協会 放送技術研究所
廣島 俊枝
NHK放送技術研究所では,被写体の動的な3次元形状に加えて,ライトフィールドや反射特性を取得可能な次世代のボリュメトリック映像制作システム「メタスタジオ」の開発を進めている.メタスタジオで取得したモデルは,視点依存の見栄えをありのままにレンダリングできるほか,写実性・質感を保った再照明にも対応している.本稿では,被写体の幾何学的・光学的な属性取得,レンダリング法,および制作支援技術について紹介するとともに,2D映像,3D映像,xRコンテンツ制作等への応用・ワークフローについて展望を述べる.
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AR ヘッドマウントディスプレイ用光学素子の高画質化と低コスト化を実現する新規回折構造の開発
15:05~15:25
パナソニックホールディングス株式会社
〇南 和博,橋谷 享,葛原 聡
Waveguideは,AR(Augmented Reality)ヘッドマウントディスプレイの圧倒的な薄型化と小型化を達成できる光学素子である.Waveguideはその構造の精度やデバイスのレイアウトに伴う解像度低下や,製造コストが課題となる.我々は光学設計とものづくりでこれらの課題解決に取り組み、解像度と製造コストの低減を両立した結果を報告する.
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国宝油滴天目茶碗の光彩に関する一考察
15:25~15:45
理化学研究所 光量子工学研究センター1), 理化学研究所 開拓研究本部2)
〇海老塚 昇1), 岡本 隆之2)
国宝油滴天目茶碗の油滴の構造を、その写真と建盞の陶片の電子顕微鏡画像から推定した。釉薬表面のシワと金属鉄膜から成る裏面に反射層を持つ2次元回折格子であると仮定すると、照明の反射光の周囲に見られる青紫色の光彩を説明できることを明らかにした。
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─ 休憩 (15:45~16:05) ─
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ラインレーザーによるスペックルパターンを用いた非接触振動センサーの開発
16:05~16:25
三菱電機株式会社
〇古田 拓也, 浅村 まさ子, 河野 裕之
生体組織の深部観察に向けて近赤外の波長領域は可視光域に比べて散乱係数が小さい。本研究では近赤外域で蛍光を発する量子ドットを用い、それを細胞に含有させることで明るい輝点であるガイド星として利用し、散乱補正された蛍光イメージングの実現を目指す。実験結果を示す。
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高硫黄含有樹脂を用いた長波長イメージング
16:25~16:45
株式会社ニコン
〇仲野 敏樹,茅野 洋平,久保寺 茜,森 大祐,染谷 尚宏
長波長向けアプリケーションの拡大に伴い、昨今では光学部材への要望も多様化している。樹脂材料は安価で生産性に優れる一方、無機材料に比べて屈折率が低く、遠赤外域においては非透過であることが一般的となっていた。我々は硫黄を基調としたポリスルフィド樹脂を合成し、遠赤外域~THz透過特性を評価した。屈折率は硫黄添加量に比例して増大し、最大で屈折率1.87を示した。透過能などの詳細は発表にて報告する。
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鏡から映像が飛び出す超鏡空中像表示技術
【招待講演】
16:45~17:25
日本電信電話株式会社
巻口 誉宗
我々は現実世界と仮想世界が高度に融合した世界のひとつとして,人々の想像力が作り出すフィクションのような現象を現実世界で実現したいと考えている.こうした取り組みの中で,我々は鏡の中からバーチャルキャラクタが飛び出してくる超鏡空中像という新たなコンセプトを提案している.本講演では超鏡空中像のコンセプトを実現するための光学系に加え,コンテンツデザインやインタラクション手法,視域拡大手法について紹介する.
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閉会の辞 (17:25~17:35)
実行委員長 栗山 要助(株式会社ニコン)